短編集
□勘違いラヴァー
4ページ/11ページ
思いもよらぬ事実に行き当たってしまい、俺は軽い錯乱状態になる。
したら、そんな俺を、神谷がギュッと抱きしめてくれた。
「誤解をすぐに解かなかったのは、お前と接点が持てると思ったからだ。打算的だった。それは謝る」
「えっ……いや……」
謝られてもどうしたもんか。とにかく心臓がうるさい。ドキドキ、キュンキュン、みたいな?
「あっ!」
「んだよ?」
突然声を上げた俺に、神谷は少し顔を赤らめて訝しげな眼差しを送ってくる。
そんなことより、俺も………………………………………神谷が好きっぽいんだけど……。
ずっと目が合うたびに睨まれて、傷ついて、それても目が離せなくて。きっと、憧れてたんだ。
まどかと別れさせたいと思ったのも、もしかしたら……。
「あ、あの……俺も神谷を好きだって言ったらどうする?」
「………」
「ぅわっ! んっ……」
急に固まったと思いきや、神谷がいきなり覆い被さってきて、俺の口をふさいだ。
こ、これって……まさかのキス!? うっそぉ〜! ファーストキスだよ……って、んんっ!
「……んぁっ」
チュパッて唇を離されて、俺の口から甘い声が漏れた。
なんかハズい……しかも、神谷の顔エロっ!
「……んっ、あっ」
ビックリしてる間に胸をチュ〜ッと吸われて、俺はのけぞった。
そんなトコ触られるの初めてだから、変な感じがする。てか、くすぐったいし。
「ちっちぇおっぱい……可愛い」
「あんっ……!」
ずっとそうされてるうちに乳首がツンと立ってきて、ゾクンと体の芯が痺れるような快感に襲われる。
それに気をよくしたのか、どんなに身をよじっても神谷は離れてくれないどころか、かなりしつこくそこを弄ってきた。
「はぁ……んん……」
頭ぼーっとしてきた。
神谷が先端を舌でつついたり転がしたりしてくると、下半身がムズムズと落ち着かなくなってくる。
「あぁ……っ!」
そしてカリッと軽く噛まれて、下半身でヤツが頭をもたげるのがわかった。
「感度いいのな。もう勃起したんだ?」
「うぅ……」
否定はしませんよ……事実ですからね。はい。
「見てもいいか?」
「あっ!」
ってー、聞きながらズボンを下ろすな! ズボンどころかパンツも一緒に下ろされちゃったよ。
「これは……っ!」
神谷はカッと悟りを開いた仙人のように目を見開いて、一点をすごい勢いで凝視してきた。
あれ? しかもなんで真顔?
神谷が俺の下半身を見つめて微動だにしない。
俺もその視線の先を追うと、俺のが元気よくこんちはーって、俺もこんちはー。
じゃなくて、かなり恥ずかしいんだけど……。
「やっ……お願い! もう見ないでっ!」
恥ずかしいと思ってたら、もっと恥ずかしくなってきて、また目頭が熱くなってくる。
したらそれに気づいた神谷に、目元にチュッとキスされた。……別な意味で恥ずかしい。でもちょっと嬉しい。
「泣くなよ。お前の泣き顔見ると、メチャクチャにしてやりたくなる」
「………」
んっ? あれ? さらりと問題発言?
ギャー! この人サディストだよー! 誰か助けてー!
逃げようにも、身体をガッチリ抱きしめられてては無理だ。
「お前の全然使ってないよな。すっげーヤバい」
こっちのほうがヤバいって。
てか、朝勃ち以外でこうなったの久しぶり。俺お子ちゃまだから、オナニーもろくにしないし。
「初物頂くのが男のロマンってか?」
そんなの聞かれても困るんですけど……てか、ロマンと違うと思う。
「大丈夫。傷つけないように優しくするから」
「……うん」
頷いたものの、まだ不安は拭いきれない。