中編集
□ワレワレハ地球人ダ
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今更ながら、周りを見渡せば男しかいない事実に気づき、愕然とする。男男男――そう、男子校なんだから当たり前だ。
中学は共学で、当然女の子がいたし、彼女と呼べるような子もいた。修也のことしか考えてなかったが、これは結構キツい環境かもしれない。
吾妻は人混みの中から幼なじみの姿を探す。広い校舎。クラスが違う二人は、一緒に昼を食べようとするだけでも一苦労だ。
「――修也!」
しかし、目的の人物はすぐに見つけることができた。
今まで気づかなかったが、修也の外見は意外に目立つ。男だらけの中だから際立つ、ふわふわと柔らかいイメージ。
うまく言葉では言い表せないが、どことなく少女っぽさを身に纏った少年は、この場所に馴染んでるとは言い難かった。
修也が女みたいだと言ってるわけではない。でも、周りから浮いてるのは確かだ。
昔からそうではあったが、今は違う。もっと、なにか危うげな空気を感じた。
吾妻の呼びかけに気づき、修也が弾かれたように椅子から立ち上がり駆け寄ってくる。
「吾妻? どうかしたの?」
「メシ、一緒に食おう。他の奴と約束してる?」
「してないけど……」
「じゃあ行こうぜ。さっさとしないと、昼休みなくなる」
「う、うん……」
どこか歯切れの悪い修也の態度に吾妻は訝しむが、うつむきがちにモジモジする修也からは喜びのオーラが発せられている。
そうさせてるのが自分だと知り尽くしている吾妻は、修也を誘うのが当然の権利と、自らの行動に疑問を感じたりはしない。
クラスからいくつかの視線を感じたが、だからそれを気に止めることもなかった。
「天気いいから庭にでも行くか? ついでに校舎案内してくれよ。広くて迷うわ」
「うん。ボクもよく迷子になる」
「は? 未だに?」
「……しょ、しょうがないだろ!」
真っ赤になる修也を可愛いと思う。だからもっといじめたくなるのだ。