Do you〜?

9話
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【ぼっちの誕生会】






 ままならない日々を過ごしながら、オレには着々と悩みとストレスだけが蓄積していく。



 あの変態マッチョ野郎と出くわしてからというもの、オレの平穏は崩壊への一途をたどるばかりだ。



 いまのうちになんとかしとかないと、本気でまずいような気がする。




「…………」




 やっぱりこれをなんとかしなきゃなんないんだよな……。



 いや、ムリ! だからオレはこんなのと関わりたくないんだって!




(無視だ無視。オレにはなんにも見えてない)




 爽やかな笑顔を振り撒いているイケ面をかぶった変態が、登校途中にオレを待ち伏せしてやがった。



 なんか無駄にポーズきめて立ってるけど、普通にはできないのか。



 モデルだっただけはあり、さすがに様になってはいるが、時々筋肉をアピールするような動作が混ざるのが最高に気持ち悪い。




(マジでやばいな……)




 部活の朝練があるせいで、マッチョよけの壁になってくれている筒井はいない。



 やつもそれをわかっているのか、朝や放課後に接触してくることが多かった。




「おはよう。今日もとてもいい朝だね」




 げっ、しかもなんかしゃべりかけてきたし。



 シッシッ、こっちは朝っぱらからこんな不運に見舞われて最悪だっつうの。



 そっちはなんだか楽しそうだな。うらやましいぜ。




「明日は僕のBirthdayなんだ。どうしても君に祝ってほしい。Partyの招待状を君に贈るから、来てくれるかい?」




 あ? あんだって?



 空耳か?
 


 いい年こいて、誕生日パーティーとかわけわかんないこと言ってるやつなんて、そうそういねえよな。



 しかもなんでオレが、祝ってやんなきゃなんねんだよ。



 マッチョの誕生日なんて、悪魔記念日かよ。おぞましすぎて祝えるわけないだろ。




「心配しなくても大丈夫さ。明日は土曜日で学校がお休みだから、ちゃんと君の家まで迎えに行ってあげるから」




 おい! おいおいおいおい!



 聞き捨てならないこと言われた気がするが……




「貴様、まさかオレんち知ってるわけじゃないよな!?」



 とんでもない発言のせいで、オレはしつこく絡んでくる変態をシカトすることができなくなってしまった。



 つうか、ぜってーに来んじゃねえぞ!




「そんなの、いつも一緒に下校してるんだから知らないわけないじゃないか」




 こんなやつと一緒に帰った記憶なんてない。というより、一緒に帰るわけがない。



 うまく捲いてると思っていたが、やはりつけられていたようだ……。



 ただのストーカーだけどな。




「お願いだ。君が来てくれなければ、僕はひとりきりだ。とても寂しくてたえられない」




 いまのこの状況のほうがたえられんわ。



 チラチラとこちらを窺う、いくつもの女子からの視線。



 当然見られているのはオレじゃない。みんなが気になってしょうがないのは、なぜかオレにピッタリ張りついて歩く隣のマッチョだ。



 マジでうざいな。早くどっか行けよ。









 
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