Do you〜?

5話
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『逃げないで……必ず君は僕を好きになる。だから僕を受け入れてくれ』




 オレの睨みをあっさり流し、募るように、まるで乞うようにあいつは語りかけてきた。




『Please live together with me』




(はあ?)




 なにわけのわかんないことを言ってんだ。この変態野郎は。




『オレは……』




 本当は怖い。



 おぞましい。



 気色悪すぎて、しゃべりかけるのも勘弁願いたい。



 マジでどうにかしてくれって感じだ。



 だけどオレは、逃げたりしない。



 逃げずにこの胸に込み上げてくる想いを、こいつに伝えるんだ。




『あい――』




 無意識に言葉が唇からもれていた。




『“I love you”?』




 なにをどう勘違いしたのか、パッと目の前の表情が明るくなる。




『愛してる、かな?』




 それを無視して、オレは思いっきり空気を吸い込んだ。




『I don't love you!』




 すかさずもう一発。




『And I don't like マッチョ!』




 あんぐりと口を開けたまま、やつは固まる。




『Do you understand?』




 ついでだから、たたみかけるように上から目線で、見下した言い方をしてやった。




『Oh, no〜!』
 



 変態野郎の腕を振り切って駆け出すと、背後で悲痛な声が響いた。



 そしてオレは、過去最高記録を打ち出せそうなスピードで走った。



 家に帰るまでの記憶はほとんどないが、あの肉体だけはオレの脳裏にしっかり焼きつけられてしまった。



 まったく、忌々しい記憶だ。








(ん?)



 フン、フン、と荒い息づかいがどっからともなく聞こえてきて、オレは目を開ける。



 いつの間にか寝てしまったらしい。



 と言っても、腕時計で時間を確認したら、ほんの十分ぐらいしか経ってなかった。



 寝過ごしたわけではなさそうだ。



 ――ハァ、ハァ、ハァ



 そりゃそうだよな。普通に考えて、先生あたりが気づいて起こしてくれるよな。



 ところでさっきからなんか聞こえてくるんだけど、なんだ?




「ンッ、ンァッ、クッ」




 うぎゃあぁーっ!



 なんだ!?



 なんかいるぞ!



 カーテンの向こうになんかいる!





 シャッ――




「!」




 くぁwせdrftgyふじこlp……




(な、な、な、なんなんだあぁぁっ!)




 勢いよくカーテンを開け放ったと同時に、飛び込んできた光景に我が目を疑う。



 なんでこんなとこに、半裸で片手腕立て伏せしてるやつがいるんだよ!








 
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