Do you〜?

8話
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(筒井がオレのこと……好きだって?)




 いったいいつから? そんな素振り、見せたことなかったじゃないか。




「最初に結城と目を合わせたときから、なんか雰囲気あるやつだなって、気になってた。友達になってからは、本気で好きになった」




 あの眼差しの意味は、好意からくるものだったと言うのか?



 わからない。



 ただ、透明人間のオレをからかっても、筒井にはなんの得もないことだけはわかっている。




「返事は急がないけど、真剣に俺のこと考えてほしい。男同士とか関係なく、ひとりの人間として俺を見てほしいんだ」




 そうじゃない。



 そういう簡単な問題じゃないんだよ。



 男同士――確かにそれは一番に重要視しなければならないことかもしれない。



 だけどオレはそのことに関しては、無頓着というかあまり気にしたことがない。



 重要なのはもっとべつなことなんだ。




「筒井って……戸村のことはどう思ってるんだ? すごくいい関係に見えるんだけど」




 筒井に好かれることでだれかに恨まれるようなことになるなんて、まっぴらごめんだ。



 オレは波風立てずに、静かに生きたい。ただ、それだけなんだ。



 しかも相手が戸村だなんて、最悪すぎるじゃないか。




「ただの幼なじみだよ。それ以上の感情は持ったことないし、ウメちゃんだって俺なんかのこと眼中にないから」



「それは……間違いなく事実か? 筒井がそう思ってるだけじゃないのかよ」




 しつこく食い下がるオレを筒井は訝しむように見ていたが、あまりの必死さに、なにに対してこだわってるのかわかったのだろう。



 固かった表情が、わずかに緩む。
 



「心配しなくても、ウメちゃんとはなんもないから大丈夫だぞ?」




「そんなの、筒井が勝手に言ってるだけじゃないか」




「ああ、だったらウメちゃん本人にも確認してみたらいいよ。そしたら本当だってわかるだろ?」




 すべての逃げ道を塞いで、筒井はオレに微笑みかけてくる。



 ウソをついてる顔じゃない。



 疑心暗鬼になってるオレにだって、それくらいはわかる。




「そんなにウメちゃんのことが気になるのか? 問題が解消したら俺とつきあってくれる?」




 口調は柔らかいのに、断言するような発言。



 筒井は強引なタイプに見えないだけで、本当は押しが強いのかもしれない。




「ごめん……少し、考えさせてくれ」




 なんでこのときオレはきっぱり断らなかったのだろう。




「…………」




 それは、廊下の柱の影から覗く視線に気づいていたからかもしれない。



 てか、マジで気持ち悪いんだけど。



 なんなのアレ?



 顔半分しか見えないけど、マッチョの生き霊かなんかなのかな?












To be continued...next
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