Do you〜?
□8話
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(筒井がオレのこと……好きだって?)
いったいいつから? そんな素振り、見せたことなかったじゃないか。
「最初に結城と目を合わせたときから、なんか雰囲気あるやつだなって、気になってた。友達になってからは、本気で好きになった」
あの眼差しの意味は、好意からくるものだったと言うのか?
わからない。
ただ、透明人間のオレをからかっても、筒井にはなんの得もないことだけはわかっている。
「返事は急がないけど、真剣に俺のこと考えてほしい。男同士とか関係なく、ひとりの人間として俺を見てほしいんだ」
そうじゃない。
そういう簡単な問題じゃないんだよ。
男同士――確かにそれは一番に重要視しなければならないことかもしれない。
だけどオレはそのことに関しては、無頓着というかあまり気にしたことがない。
重要なのはもっとべつなことなんだ。
「筒井って……戸村のことはどう思ってるんだ? すごくいい関係に見えるんだけど」
筒井に好かれることでだれかに恨まれるようなことになるなんて、まっぴらごめんだ。
オレは波風立てずに、静かに生きたい。ただ、それだけなんだ。
しかも相手が戸村だなんて、最悪すぎるじゃないか。
「ただの幼なじみだよ。それ以上の感情は持ったことないし、ウメちゃんだって俺なんかのこと眼中にないから」
「それは……間違いなく事実か? 筒井がそう思ってるだけじゃないのかよ」
しつこく食い下がるオレを筒井は訝しむように見ていたが、あまりの必死さに、なにに対してこだわってるのかわかったのだろう。
固かった表情が、わずかに緩む。
「心配しなくても、ウメちゃんとはなんもないから大丈夫だぞ?」
「そんなの、筒井が勝手に言ってるだけじゃないか」
「ああ、だったらウメちゃん本人にも確認してみたらいいよ。そしたら本当だってわかるだろ?」
すべての逃げ道を塞いで、筒井はオレに微笑みかけてくる。
ウソをついてる顔じゃない。
疑心暗鬼になってるオレにだって、それくらいはわかる。
「そんなにウメちゃんのことが気になるのか? 問題が解消したら俺とつきあってくれる?」
口調は柔らかいのに、断言するような発言。
筒井は強引なタイプに見えないだけで、本当は押しが強いのかもしれない。
「ごめん……少し、考えさせてくれ」
なんでこのときオレはきっぱり断らなかったのだろう。
「…………」
それは、廊下の柱の影から覗く視線に気づいていたからかもしれない。
てか、マジで気持ち悪いんだけど。
なんなのアレ?
顔半分しか見えないけど、マッチョの生き霊かなんかなのかな?
To be continued...next