Do you〜?
□2話
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「はい、いきますよー」
来るな。むしろおまえがどっかに行け。
「五位、筒井秀時くん。サッカー部のゴールキーパーがランクウィン!」
だれかが口笛を吹く。
後方に視線を流すと、短髪で長身の男子が立ち上がり、両手を挙げて周りを落ちつかせようとしていた。
どうやら彼が五位の筒井秀時らしい。
見るからに明るくて穏やかそうな性格。面倒見もよさそうだし、人望も厚いだろう。
だれからも愛される人気者ってやつか。
できればお近づきにはなりたくないな。
心配しなくても、オレなんて目に入らないだろうけどさ。
「三位、瀬名愛梨さん。まあ、彼女のことを知らんやつはいないかー。なので割愛で」
オレでも知ってる、性格がきつそうな美人の社長令嬢。
そんで変態マッチョの許婚。
腰まである髪は人工的にウェーブを描いているのに、注意する者はいないらしい。
オレの染髪とはわけが違う。あきらかに校則違反だ。
あまりお近づきにはなりたくないな。
そもそも相手になんてされないだろうけど。
「そして、なななななんと! ここからがすごいぞー! 同率で一位が二名!」
(は?)
同率だって?
「一人めが――阿久津讓くん。彼は帰国子女で、今年度からうちの生徒になったばかりだ。いろいろと助けてやれよー」
一位がだれかわかりきっていたが、他にも名前を呼ばれるやつがいるとは思わなかった。
しかもあいつ……
だれよりもお近づきにはなりたくない相手。
「きゃー! 讓様って頭もいいんだー」
「すごーい。素敵!」
女子から黄色い声があがるのに、しれっと涼しい顔をしている。
他人から見られるのに慣れた人間の態度だ。
気にしなければいいだけなのに、気になって気に入らない。
「そしてもう一人は、結城乃亜くんだ!」
発表されたところで、これまでのような盛り上がりはみせない。
だれだよそいつって感じに、クラスの連中は教室の中を見渡している。
どうせキラキラネームとか思われてるだろう。
ほっといてくれ。名前だけは自分じゃどうすることもできないんだ。
「ちなみにこれ男子の名前な。はい、ここテストに出まーす! ちゃんと覚えろなーんてな」
「…………」
いやいや、ぜんっぜん面白くないし。
クラスのやつらも白けてるじゃん。
それより、ここで悪目立ちするわけにはいかない。
なるべくオレは目立たないように、身体を小さくする。
(まさか……あいつオレの名前知ってんじゃないだろうな?)
だれもオレの存在なんて気にしてない中、あいつの視線だけがいつまでも絡みついてきた。
To be continued...next