Do you〜?

2話
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(うそだろ……おい)




 新しく割り当てられた教室に入ったら、そこにもあいつがいた。



 絶対に関わるもんかと誓ったばかりなのに。




(……なんだよ? なんで見てくんだよ)




 そんなに食い入るように見られてたら、穴が空いてしまいそうだ。



 オレの様子をじっと窺っているようだが、近寄って来る気配はない。



 無表情でただ見られるだけっていうのは、なんだか薄気味悪くて、落ちつかない気分にさせられる。



 心配するな。



 大丈夫だから気にしないでくれ。



 だれにもバラしたりなんてしないから。



 いかれた露出狂で変態行為を趣味にしてるなんて、絶対にだれにも言わない。



 話しかけたくはないから、いまこの場をもって約束する。






「はい、席につけー。みんなの新しい担任になった渡部先生だよー。よろしくぅ」




 オレの心境などはお構いなしに、脳天気な声が響いた。



 渡部……確か担当科目は世界史だったか。



 一年のときはまったく当たったことがなかったが、変わり者だと有名な教師だ。




「いやぁ、すげーよ! マジですんげーんだよ! 先生、このクラス受け持てるなんてラッキーだよ」




 変わり者なのはわかった。
 


 わかったが、まずその言葉遣いはなんとかならないものか。




「だって聞いてよ。なんとさー!」




 いい。聞かなくていいから、とりあえず教師なら教師らしく真面目にやってくれ。



 チッ……




(あいつ、しつけーな)




 まだあいつから向けられ続けてる視線が痛い。



 突き刺さるようで、神経がピリピリする。



 オレはあいつになにかしたのだろうか。



 て、なに言ってんだ。されたのはオレだろ。



 どう考えてもオレは被害者でしかないじゃないか。




「うちのクラスに成績上位者五名のうち、四人も揃っちゃったんだよ!」




 渡部の発言に教室内がざわめく。



 よくそんな偏ったクラス分けにしたな。



 まあ、オレにとってはだれと同じクラスになろうと、さほど問題ではないけどさ。




「どうせだからその四人を紹介しちゃうぜ」




 続く言葉に、オレの顔は強張った。




(マジかよ……勘弁しろよ)




 なにを言ってるんだ、こいつは。なにが、どうせだと言うんだ。



 あきらかにプライバシーの侵害じゃないか。



 一年生の最後にやったテストの結果のことだろう。



 ただの学力判定のためのテストだから、成績なんて気にせず普通に問題を解いてしまった。



 失敗した。







 
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