Do you〜?

2話
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【悪夢の新学期】








「――冗談じゃない」




 思わず、オレはつぶやいていた。



 まさか変質者と同じ学校に通っていたなんて。



 最悪だ。



 悪夢でも見てるのだろうか。



 春休みからずっとおかしな夢を見続けているのか?






 そう思い込みたかったのに、学校に着いたらまたあいつがいた。



 知らん顔してクールな態度をとっているが、




「…………」




 動揺して転びそうになってやがる。



 これは夢じゃない。やっぱりあいつだ。



 間違いなく、あのマッチョ野郎だ。




(でも、あいつ……見ない顔だな。新入生か?)




 そいつが通り過ぎたあと、女子だけの人集りができて、昇降口は騒然とし始めた。



 もしかしたら、あいつがやってることはとっくに噂になってるんじゃないのだろうか。




「いまの見た? 阿久津讓だったよ! まさかの生眼福!」




 阿久津讓? だれだ?




「見た見た。なんかモデルの仕事辞めて、学業に専念するってテレビで言ってたよ」




 は?




「でも才能あるのに辞めるなんてもったいないよね。ファンだったから残念だなー」




 おいおいおいおい。




「ずっと海外を拠点に活動してたから、まさか肉眼で見れる日が来るなんて思わなかった」




 なに言ってんだよ?




「先月までは仕事してたみたいだね。わたし雑誌買ったもん。あー、同じ学校なんて奇跡なんですけど!」




 寝言は寝てからにしてくれ。
 



「あ、でも……瀬名さんの許婚らしいよ。モデル辞めて日本に戻ってきたのも、正式に婚姻を結ぶための準備があるからだって」




「えー?」




 オレは自分の耳を疑って呆然とした。



 えーって、そんなのオレが言いたい。




(モデルだって……?)




 あの変態は有名人なのか? 有名人があんな犯罪行為なんかしていいのか?




(瀬名って……証券会社社長の令嬢だよな?)




 しかもあの野郎が婚約者?



 ということは、あいつ自身もそれなりに地位のある人間だっていうことだ。



 ありえない。



 でも、これは変に騒がずに、黙っていたほうがいいのかもしれない。



 なんだか嫌な予感がする。



 もしあいつに関わってしまったら、いままで築きあげてきたものがすべて失われるような。



 不安。



 そして、言いようのない恐怖心。



 逃げ出すようで悔しいが、あのことはもう忘れてしまおう。



 忘れたほうがいいに決まってる。








 
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