Do you〜?

1話
2ページ/2ページ

 





「いってきます」




 登校中、地味でダサいオレの姿を、気にする者はだれもいない。



 当然だ。そうなるように頑張ってるんだから。



 オレは空気。だれの目にも止まらない透明人間だ。




(そういえば……春休みに遭ったアレ、まだ捕まってないのかな?)




 しばらくはニュースを気にして見ていたが、それらしい事件は見当たらなかった。



 春先になるとああいう輩がちらほらと現れるから困る。



 たまたまでもあんなのに出くわしてしまったなんて、オレは運が悪かったんだろうか。




(ん?)




 数メートル先でオレと同じ制服を着た男が、立ち止まってこちらを見ていた。



 なんだろう、あの癖のある独特な立ちかたは。



 無意識のようだが、まるでモデルのようなポージング……ん? ポージング?



 にしてもすごいスタイルがいい男だ。



 どこかで見たことがあるような気がしなくもない。



 なんだかあいつに似ているような……?




(んな、まさかな)




 ないないないない。他人の空似ってやつだ。



 全然雰囲気違うしな。なんかキリッとしてて顔もイケメンだし、女子にも人気ありそうな感じじゃないか。
 


 ところでなぜオレは見られているんだろうか?




(は?)




 目が合った瞬間、驚愕するようにそいつの瞳が大きく開かれる。



 せっかくのイケメンが台無しになるほど、顔面が崩壊した。



 二度見してみたけど、やっぱり間違いない。




「ああぁっ!?」




 大声を上げたら、ダッシュで逃げられた。




「な、なんだったんだ? いまのは……」




 オレはその場に呆然と立ち尽くす。



 それは、平穏無事な生活に、わずかな亀裂が入った瞬間だった。











To be continued...next
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ