Rアール

□R(3)
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「もういい」

 夢中になりすぎてルビーが僕の血で赤さを増した頃、リューク様に止められてしまった。

「ふっ、んん……」

 血を舌で舐め取らる。そのもどかしい快感に、僕は腰をくねらせリューク様を誘った。

「やりすぎだ。今度血を出したら、二度と触らせないぞ」

「そんな……っ、んっ、あんっ……はい……」

 傷づいたそこに、リューク様が癒すような愛撫を加える。

(せっかく久しぶりに触れたのに……)

 再び取り上げられてしまった寂しさに、僕は小さくため息をついた。

「中を開いて柔らかくなるまで解してみろ」

「……はいっ」

 ひどいことをされている――そういう思いもわずかにあったが、それでも僕はすべてを受け入れる。
 ほんの少しでも、リューク様を傷づけたくないから。

「真っ赤に熟れてきたな……しかも、いやらしく動いてるぞ?」

「はい、僕のここ……リューク様が欲しくて……もう……」

 指を引き抜いて、リューク様に自分の淫らさを見せつける。
 とにかくそこが疼いてしかたない。

「はやく……僕の中に来てください」

「――……」

 リューク様が息を飲むのがわかった。
 恐ろしいほどに美しい瞳が漆黒に輝き、僕の痴態をしっかり捕えた。
 
「あっ、あぁ……んっ」

 僕は貪欲にリューク様を咥え込み、絶対に放すまいときつく締めつけていた。

「ククッ、そんなに俺のが好きか?」

「好き……あっ、本当に好き……リューク様」

 想いを伝えながら涙を流す僕に、リューク様は優しい口づけをくれる。

「マナ……今夜は二人きりでいるか?」

「ンッ、だ、だめですよ……リューク様は、式に出ないと……」

 新年を祝う式典は、今夜二十三時には始まる。それに国王が出ないで、国民になんと説明するのだろうか。

(僕がリューク様をおかしくさせてる?)

 そんな不安から、ついリューク様のものを締めつけてしまった。

「お前は……本当に欲張りだな」

「やあぁぁぁ……っ!」

 突然中を激しく責められて、僕は悲鳴のような喘ぎ声を上げた。

「もっと叫べ。もっと俺を欲しがれ」

 その言葉に、また僕の中でなにかが目醒めた。

「ほしい……リューク様……もっと、僕をおかしくしてっ!」

 髪を振り乱し、滅茶苦茶に腰を動かす僕に合わせて、リューク様の動きも速くなる。

「アッ! あぁっ、もうっ、イく……!」

 抱き締められてキスをされる。僕にはそれが唯一の幸せになっていた。
 


 内線の鳴り続ける音で僕は目を覚ます。

(行かなきゃ……)

 まもなく式が始まる時間だ。僕がまとめないと進まないことがたくさんある。

「あっ……」

 起き上がろうとするのに、身体に力が入らなくてうまくいかない。
 リューク様との激しい行為を思い出し、顔を赤らめてしまった。

「まだ足りないのか?」

 その意地悪な声に、一人じゃないことを知る。

「リューク様……? なにしてるんですか! 早く行かないと――んっ」

 慌てて起き上がると、リューク様はうるさいとばかりに、僕の唇を塞いでしまった。

「もう……行かないと」

 唇をゆっくり離され、僕はやっとそれだけを告げた。

「お前は無駄に真面目だからな」

 怒られると思ったのに優しく髪を梳かれてしまい戸惑う。

「僕は遅れて行きますから……リューク様だけでも……」

「お前を置いてなど行けるか」

「え?」

 一瞬、なんのことを言われているのかわからなかった。

「いえ、僕は大丈夫ですから……」

 すぐに式の話だと理解したが、別の意味に聞こえてしまったのだ。
 いつか、夢の中で聞いたリューク様の台詞のように。

『お前は地獄まで連れて行く』

 そういうふうに――。
 
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