Rアール

□R(3)
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21話.ニューイヤーセレモニー



 僕はどこへ向かっているんだろう。
 答えはすべて――リューク様、あなたの中にあります。





「ちょっと! ボーッとしないでよマナちゃん」

「す、すいません」

 ニナさんに怒られてしまい、僕は無心に仕事の手を動かした。

「どうしたの、なにかあった?」

「……いえ」

 ニナさんの心配そうな顔が心苦しい。
 本当になにかあったわけではないけど、今は誰にもなにも言えない。
 なにかが、狂い始めているなんて……。

「言わなくていいけど、あんまり無理しないでよね」」

「はい」

「でも、仕事はちゃんとやってよ! 明日の準備で忙しいんだから」

 そんなニナさんに励まされ、僕は慌ただしく走り出した。

「あ、ナタリー! テーブルのセッティングお願いね」

「は〜い」

「ジョージさん、明日のメインの料理のことなんですが」

「は、はい!」

 会う人会う人に声をかけて、明日が滞りなく済むように自分の仕事を務めた。

(新しい年のためだから頑張らないとね……)

 忙しくしていれば、気は紛れた。一度立ち止まったら、泣き叫んでしまいそうだから。
 そうやって、自分を誤魔化しながら。
 


「花火ですが、今回は数を増やそうかと」

「お前が決めろ」

「承知致しました」

 打ち合わせ中のリューク様とセバスさんを見つけ、僕は駆け寄った。

「こちらは、全部終りました。他に仕事が残ってたら手伝います」

 二人に一礼だけして、僕はセバスさんに詰め寄った。

「さすがですね。後は零時に打ち上げる花火の準備だけですので、マナ様は少しお休みください」

 それじゃあ困る。今、立ち止まるわけにはいかないのだ。

「僕も手伝います」

「ですが、これは危険ですので……」

「駄目だ」

「……っ」

 リューク様の低い声に身が竦む。余計なことはするなと、そう告げられる。

「私と部屋に戻るんだ」

「……はい」

 言い放ったと同時に、リューク様は歩き出してしまった。僕も慌てて後を追う。

「マナ様」

 しかし、セバスさんに止められて振り返った。

「陛下はマナ様が心配なのです。あなたを失わないようにと……」

 わかっていた。僕が街に行ったあの日から、リューク様がおかしい。

「どうか、気持ちをしっかりお持ちください」

 頭を下げられて困惑する。セバスさんは、なにかを知ってるのかもしれない。
 




「来い――マナ」

「はい」

 部屋に入るなり、きつい抱擁を受ける。

(息が詰まりそう……)

 リューク様が僕を抱き締める手は、とても優しくなった。

「服を全部脱いで、机に脚を開いて座れ」

「はい」

 けれど、行為は日々ひどくなっていき、僕を試すようなものになった。

「早くしろ」

 叱責されて、急いですべての衣服を取り払う。

「んっ……すみません」

 僕は素直に従うだけ。リューク様に、本気だと教えるために。
 裸になり、机に腰を下ろす。ヒンヤリした感触に一瞬躊躇してしまう。

「ちゃんと俺に見えるようにやれ」

 椅子に座ったリューク様に、次々と指示を出されていく。

「はい……ンッ……」

 こんな至近距離で見られてるだけでも恥ずかしいのに、僕の手は自らのものを握り、必死に動かしていた。

「こんなに漏らして」

「いやっ、ンッ……」

 つぅーと、悪戯に筋をなぞられ、それだけでおかしくなってしまいそうになる。

「特別に、胸も弄ってもいいぞ?」

「あ、ありがとう……ございます……」

 久しぶりに許可をもらえて、僕がリューク様のものだという証を、狂ったみたいに弄り続けた。
 
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