Rアール
□R(1)
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いつでも身体に響く、低く美しい声。
漆黒の髪と、深く真っ直ぐな瞳。
長い手足と、逞しい肢体。
背を伸ばし、爪先立っても触れることのできない、薄く整った唇。
お前は俺のものだ――
そのすべてが、僕の心を縛り続ける。
それは、まるで……呪縛のように。
原爆、温暖化、隕石落下、考えられることならいくらでもある。
地球は己を痛め続けた人類に罰を下すよう、自らを倒壊させたのだ。
地球半壊で、多くの人間が犠牲となった。
そして千年の時が過ぎ去ると、新しい規約と共に数百の王国が創られ、言語は一つに統一されたのだ。
その中でも急速に発展した大国リネイム王国。王の名はリューク・ルドベキアという。彼はまだ二十三歳の若さで、即位して五年になる。
六年前――彼の父である前国王が病に倒れ、兄が突然失踪したことにより一時国民は混乱し、街は荒れていった。
しかし彼が王になり、国を治めてから半年という短い期間で国は元の平和な国へと戻っていったのだ。
今日もトレードカラーの黒いコートをはためかせて、颯爽と歩く姿がある。
その姿を見て、誰もが思うだろう。
彼は、生まれながらの王なのだと――。
【Rアール】