Do you〜?

3話
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「まあ、いいや。やっぱり注目すべきは阿久津讓と、瀬名愛梨だよね。同じクラスなんて奇跡的ラッキーだわ」




 オレがこの口を止めることは不可能だろう。



 ノンストップすぎて入り込む隙がまったくないのが、ある意味すごい。



 これは諦めて聞き手に回るしかないな。




「二人が婚約するって去年知って、いろいろと情報集めてたんだけど、まだまだ足りなかったんだよね」




(おいおい)




 どう考えてもただの時間の無駄じゃないか。



 目を覚ますんだ!



 それにしても、そこまで有名なのかあいつ。



 オレとしてはニュースに犯罪者として出てくるほうがしっくりくるんだが……。




「これから観察したい放題なんて燃えるわー」




 ちなみにオレはとっておきの情報を持っているぞ。



 露出狂の変態とか変態とか変態とか変態マッチョとか。



 言えないけど。




「だけどあたしが一番気になってるのは、またべつにいるんだけどね」




 言いながら意味ありげな視線を向けられる。




(……なんだ?)




 探るように見つめられて、オレは嫌な予感がした。



 手に冷や汗が滲む。




「どうして皇帝様は、さっきからずーっとこっち見てんだろうねぇ?」
 



 皇帝様? あいつのことか。



 んなもん知るか!



 聞きたいのはオレのほうだ。



 どうせならあいつんとこ行って、もう見んなって言ってきてくれ。




「うーん。知り合いってことはないよね? あたしが見落としたんじゃなければだけど」




 あんなのと知り合いなわけないだろ。



 強いて言うなら、加害者と被害者の関係だ。




(げっ)




 あいつの話なんてするから、間違って目合わせちゃったじゃんか。



 まだ見てるとかどうなってんだ。




「ところで、ノッチー。なんでわざと地味な変装なんてしてんの?」




「なっ……!?」




 なんでバレたんだ?




(なんで……どういうことだ? なんかしくじったのか?)



 気づかれるはずない。



 だって、



 オレの変装は完璧なはずだ。



 ちょっと明るい色の地毛が伸びてきたけど、それもうまく隠せてるじゃないか。




「あっ、大丈夫だって! 他の連中は絶対にわからないだろうし、あたしもべつにだれにも言わないから」




 内心ピンチだろうかと焦っていると、カラッと明るく笑い飛ばされた。



 とりあえず一難は去ったと思っていいのだろうか。




「なんか特別な事情でもあるんでしょ?」




 尋ねられて、オレは頷くしかなかった。








 
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