Do you〜?

9話
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 車が走ること30分。連れてこられたのは、城みたいなでっかい屋敷。



 興味ないからうらやましいとか思わないけど、こいつがホンモノなんだって目の当たりにして、若干動揺してはいる。



 まあ、ホンモノの変態ってのはとっくに知ってたけど。



 そしてパーティー会場に通されたオレは、目の前の光景に絶句した。




(なんだよ、これ……)




 本当に誰もいない。それどころか、広い空間に二人ぶんの席の準備しかされてなかった。



 なんだか異様な光景にも見える。



 こんな広い屋敷に、御曹司がぼっちで誕生会とか……。



 ポツン感がハンパなくて、たまらない気持ちにさせられてしまう。



 思わず目には涙が滲んで、肩が小刻みに震えていた。




「そんなに笑いをこらえて、なにか楽しいことでもあったのかい?」



「プ、ププ……マジで傑作だと思って」




「気に入ってくれたならよかったよ」




 いやいや、本当にひとりとはな。家族や強引に押しかけてくるやつぐらいいてもおかしくないのに。



 やっぱりこいつ嫌われてるのかもな。




「ブーッ! アハハハ! ハッピーバースデー。笑わせてくれてありがとう」




「Wow!」




 とうとう吹き出してしまったら、やつは急に感極まったようにオーバーなリアクションをしている。



 自分でもなんでお祝いをしてやろうと思ったのかわからないけど、なんか愉快すぎてさ。




「やっと君の笑顔が見れた。最高のBirthdayだよ……ありがとう」




 あ、ごめん。笑顔じゃなくて嘲笑っただけなんだけど。



 やばい……なんか誤解させちまったかも。



 オレが焦っているうちに、やつはおもむろに上等そうなタキシードを脱ぎ始めた。
 



「お礼に、僕の筋肉を見せてあげよう。最近は僧帽筋を頑張って鍛えているんだ。ぜひ君に見せてあげたい」




「いらねえよ! なに脱いでんだよ変態!」




 胸ぐらを掴み上げてやろうと思ったがすでに上半身裸で、オレは勢いでやつのズボンのベルトを掴んでしまった。



 自分がしでかしてしまったことに気づかないまま、オレは露出狂の変態にきつい眼差しを送る。




「ん? そうか! 下を脱がないからいけなかったんだね! だからいつも不満そうだったのか」




 ふあっ!?




「ち、ちげーよ!」




 パッとベルトから手を離したが、後の祭り。



 最悪なことに、変態野郎は下も脱ぐ気満々だ。




「じつは大臀筋もなかなかSexyに仕上がってるんだよ」




 ま、まさか下着まで脱ぐつもりじゃないだろうな!?




「讓様――ダミーで用意した会場が偽物だと皆様気づかれたようで、こちらにいま向かわれてるようです」




 絶望感に見舞われていたら、慌てふためいた年配の男が現れた。



 にこやかだった変態野郎は、途端に冷酷な表情を浮かべる。




「そんなものは、早急に対処しろ」




「ですが、人数が多すぎるようで……」




「僕はやれと言っているんだ。Noah……君は気にしなくてもいいからね。邪魔が入ると困るから、僕の部屋に案内しよう」




「き、貴様は……」




 すっかり騙されたオレも悪いが……



 ひとの良心につけ込もうなんて、最低だ。




「待ってくれ! ちゃんと邪魔者は追い払うから! 僕の大臀筋を――」




 うるせえ、ボケ!



 今度の今度は、今度こそもう本当に、なにがなんでも絶対におまえなんか知らねえ!



 てか、どうやって帰ればいいんだよー!!?








To be continued...
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