短編

□Bluffing→Bluffed
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注意:柳生篇後日談?





「銀さん、有り難う御座いました」
「あ?まぁ、いいって事よ」


妙が九兵衛と話している間、新八はそっと銀時に声を掛けた。


「さっき思い切り右胸をやられましたけど、大丈夫でした?」
「んー。痛いっちゃ痛いけど、直ぐに治るだろ」
「本当に大丈夫ですか?万事屋に着いたら一度見せてくださいね」
「いいって。大丈夫だから」
「駄目ですって。見せてくださいね」
「俺の鍛え上げられた綺麗な肉体的ボディがそんなに見たいの?新八くん、銀さん何だか嬉しいような嬉しくないような微妙な気持ちなんだけど。新八って変態だったの?わー、怖い」
「誰が変態だよ。てか、誰もアンタの体なんか見たいだなんて思った事ないんですけど」
「まぁまぁ、遠慮すんなって」
「誰が遠慮するかよ」


何時もの日常的会話。
側で聞いていた真選組一同。
近藤は一人二人のやり取りを見て顔を綻ばす。


「嗚呼、もう。面倒臭ェな。んな事しなくても大丈夫だから。お前は姉ちゃんの心配しとけや」
「姉上の心配はそりゃしますよ?でも、今は銀さんと神楽ちゃんの怪我を優先します」


ちょっと此処押しますよとだけ云うと、新八は銀時の右胸部分を軽く押した。


「いった!」
「すみません。大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃねぇよ」
「....銀さん。インナーのチャック少しだけ下げて、痛みを感じた所だけ見せてもらっていいですか」
「変態じゃん」
「変態じゃねぇって何回も云ってるだおろうが。早くしてくださいって」
「へいへい」


適当な返事をしてから、インナーのチャックを軽く下げる。
新八は右胸に少し眼をやると、げっとしたような顔をする。


「お前が云いたい事は判ってるから。云わなくていいから。打撲くらいどうって事ないって。どうせ色がアレなんだろ」
「厭、銀さん。肋骨が何本かいっちゃてますよ」
「...マジで?」
「...マジです」
「...」
「早く病院行きましょうか。一緒に神楽ちゃんの右手首も見てもらいたいんで」


万事屋一行は、早足で病院へと向かった。






************






「坂田さーん。彼方何回来る訳?僕は坂田さん専属の医者じゃないんだけど」
「俺だって好きで来てる訳じゃないんですけど」
「じゃあ何で来たの」
「アンタホントに医者かよ。今回は入院しないんで、先生お願いします」
「嗚呼、眼鏡くん。キミは眼鏡屋に行ってメンテナンスして貰ってくれる?此処は眼鏡受け付けてなくってさー」
「一回殴ってもいいですか」
「オイ、藪医者!早く私の手首を診るヨロシ。そして私に一生分の酢昆布を寄越すネ」


院内でも、万事屋の何時もの会話は収まらない。
長々と話しながらも、診察を終える。
だが、銀時の怪我は少し酷かったみたく、一度CTスキャンにかける事になった。
金が無いから止めると云った銀時に対し、もう今日以降来る回数を減らしてくれるなら無料でいいよと云った医者の言葉に甘んじて、細部まで検査する事になった。


「坂田さん、彼方危なかったよー。もうちょっと深追いしてたら、骨が肺に突き刺さってプツッと呼吸が出来なくなる所だったんだから」
「そんな、テレビの電源きるみたいなカンジで云わないで下さいよ」
「右の肋骨。上から数えて三、四、五番の骨がいっちゃってますね。んで、左の三番目に軽く皹がはいっちゃってます。ま、ドンマイですね。何時ものバチが当たったって感じかな?」
「うるせぇよ」
「取り敢えず、二週間は院内で入院、その後一週間は自宅で絶対安静ってとこですかね。骨を元の場所に戻してギブス巻くんで上脱いでー」


軽く舌打ちをしながらも、痛む為少し時間をかけて上を脱ぐ。
よく見ると、右胸に大きな赤黒いような痣がある。相当酷いのだろうか。


「さすがに此れは麻酔に使うんで、其処に横になって。あ、二人は外出てもらえるー?ちょっとエグいかもよー」
「此処に居るアル」
「僕も居ます」
「知らないよー?かなり痛々しいよー?」


ウザイ話し方をしながら、銀時に麻酔を打つ。
注射器の中の液体が銀時の血中に流し込まれる。
徐々に徐々に、銀時の意識は朦朧としてきた。


「銀ちゃん、此処に居るからネ」


神楽は銀時の右手を握りしめた。


「始めますよ」


医者はそれだけ云うと、治療を手っ取り早く始める。
そして、治療は程無くして終わった。


「これで取り敢えず終わったから。前みたいに色々厄介になるのは厭だから、今回は個室ね」


医者はそれだけ云うと、新八と神楽を手で呼び寄せた。
その間に、看護婦は三人がかりで銀時を入院服に着替えさせる。


「正直ね、坂田さんはそこそこの年齢だからね。今回も含めて、今までのように酷い怪我をし続けていると本人の体が持たない。本人に云ってもどうせ云う事を聞かないから君達に云うけど、あまり無茶させないでね。これから三週間は絶対安静だ。初めの二週は此方でちゃんと見ておくけど、一週間、しっかりと彼を見ておいて欲しい。今回の骨折は結構酷い。もう少し酷ければ、完全に肺に突き刺さっていたし、傷付けていた。さらに酷ければ、その他の臓器への損傷もあったかもしれない。くれぐれも、無茶させないように君達も注意して欲しい」


医者は一通り説明すると、小声で独り言を云うかのように、僕の大切な患者さんの一人だからねと云った。


「ねぇ、銀ちゃんはまだ起きないアルカ」
「麻酔は痛みを感じさせないようにする為に打つもの。今回は全身麻酔をしたから、もう少し時間が掛かる。じきに目を覚ますだろうよ」
「銀ちゃん、起き上がるの駄目アルカ」
「まぁ、三週間は寝たきりの方がいい。治りが少しでも早くなるだろうさ。早ければ、二週間か、二週間ちょっとで治る筈だ。其れまでは我慢」
「....」
「ささ、病室へと運ぶよ」


神楽は浮かない顔をしながら銀時の手を握り、共に病室へと向かった。
新八はそんな神楽をずっと後ろから見詰めていた。






************





「ん...」


治療を終えて三十分か四十五分程は経っただろうか。銀時は漸く目を覚ました。
自分の右手を握るのは神楽。左手を握るのは新八。二人共、手を握ったまま眠っていた。
自然と笑みが零れる。


「ありがとな」


それだけ云うと、銀時は二人の頭を撫でる。
二人の頭に手を乗せたまま、銀時は再び眠りにつく。

扉の開いた病室の外からは医者が少し笑みを零しながら見ていた。


「ありがと、ねぇ」


眼をもう一度廊下へと見やれば、医者は診察室の方へと歩いていった。






end

************

あとがき

ごめんなさい。なんか、家族愛?的なカンジなものを書きたかったけど、長いし駄文だし何したいか判らんし途中銀さんの体と新八と神楽の心を可哀想な状況にしてしまったし。
もう、色々とごめんなさい。
自分で云うのは少し気持ち悪いけど、医者の方はほんの少しだけ満足している自分が居ますwwwwwww
文才欲しいッス。

最後まで読んでいただき、有り難う御座いました。

鬼燈


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