小説 リト☆スタ
□リト☆スタ 第6話 『部活』
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『メーデーメーデー!こちら第5小隊のシライシ!至急援軍を援ぐ……、うわぁっぁあああ!!!』
無線機の奥から聞こえてくる友人の悲鳴が頭に木霊する。
『シライシィィイイイ!!』
俺は何度もその名前を呼んで応答を願うが、残念ながらもう手遅れのようだった。
無線機からはザラザラとした耳障りな雑音しか聞こえない。
『くそっ!シライシがやられたか……、俺一人でもやってやるさ!』
時は宇宙西暦。人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させるようになって結構な時間が過ぎていた。
そんな中勃発した戦争。
地球侵略を目論む悪の根源コナタ率いるズィオン軍。
それを阻止する為の組織地球連盟軍。
そこに所属する若き新人パイロット。それが俺ことタカセ ユウヤ少尉だ。
今日は輸送機護衛の任務についていたのだが……。生憎と敵に遭遇してしまいただ今交戦中だ。
俺は操縦系統のコントローラーを握り締め、相手の指揮官コナタへと向き直る。
『ユウヤ、今日が君の命日になるのだよー』
コナタの駆る黒い機体。それはまるで闇。
まるでホバー移動でもしているかのように地を這う姿。それはまさしく狩人。
黒光りするフォルムだが時折赤色に光るモノアイ。それはまるで見るものをすくみ上がらせるような威圧感を持っていた。
『当たれ!当たれぇえぇえええ!!』
もちろん俺も抵抗したさ。
コントローラーの性能をギリギリまで引き出し、3Dスティックもゴムカバーが外れてしまうかのような勢いで回して標的を追い求めたさ。
けど、相手が悪かった。俺の操る地球連盟軍の切り札グァンダムでさえ、コナタの前には赤ん坊同然だ。
『ふっふっふ、遅い遅い、さっきまでの勢いはどうしたのかな〜〜?』
『だまれ、コナタ!お前らに地球を渡してたまるか!』
モニターにコナタの顔が映し出される。ムカつくことこの上ない。
口元をニヤリとゆがめたこなたは、余裕そうにこちらを見ながら俺の機体を右に左に翻弄する。
『ちぃ!もっと早く反応してくれ!』
残念だが、この時にはもう勝敗は決していたのかもしれない。
まるで銃を持った兵隊に石槍で挑むようなものだ、分が悪すぎる。
『あたしと戦う不幸を呪うがいい!』
こなたはそう言いながら照準を俺の機体ではなく、空を航空中の一機の貨物輸送船へと向けた。
それと同時に、機体の持つバズーカ砲から打ち出される弾。
『やめろぉぉおおお!!』
俺の悲痛な叫びも虚しく、こなたの銃撃をモロに喰らってしまった輸送船は無情にも粉々に砕け散ってしまった。
『マっ……』
そう、あの船には……、あの船には……!
『マティルダさぁぁぁぁぁあああああん!!!』
俺の愛するマティルダさんが乗っていたのだ。