小説 リト☆スタ
□リト☆スタ 第1話 『テンキン? 何それおいしいの?』
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プロローグ
おやすみ。 運命を信じるかなんてことは、個人の自由であり、俺がどう思おうが俺の勝手なわけだ。
今ここで高らかに宣言しよう!!俺は運命なんてものをこれっぽちも信じちゃいない。
もし、運命なんてもんがあったら、俺の[入学式の日に登校路で女子と偶然ぶつかりそのままお近づきになっちゃおう計画]。
又は[可愛い幼なじみが遅刻しそうな俺を部屋まで起こしに来るプロジェクト]は少なくとも入学式から一週間程の間に成就しているはずだからだ。
しかし、いくら待ってもそれらが実現する気配は無い、何故だ!!(坊やだからさ)
俺を待ち構えていた運命は、女子との出会いや、学校中の可愛い女子に迫られてウハウハ☆なんていう心地よいものでは無かった。
恥を忍んで話してやろう。
アレは入学式の日の事だ。学校の近くの曲がり角で手頃な女子が現れるのを待ち過ぎた俺は、入学式の日に遅刻というなんとも情けない醜態を晒してしまった。
まだあるぞ、居るはずの無い幼なじみが起こしに来てくれるのを待ち続け、五回連続寝坊という末代まで残る異業を成し遂げたってこともある。
……。
因みに、この後教師並び親達にこっぴどく叱られた事は言うまでも無い。
これが運命なんていう不確定的なものを信じた男の末路ってやつさ。
俺が運命なんてものを信じない理由が少しはわかっただろう?
結論!!運命なんてものはない、決まり!決定!はい終了!!
幼馴染やツンデレやドジッ子や天然少女との運命的な出会いなんて、漫画やゲームの中の話で現実の世界に生きる俺には悲しいかな、まったくの無縁なのさ。
しかし、俺も男だ!健全な男子高校生だ!
頭では分かっていても、俺も幼馴染やツンデレやドジッ子や天然少女との運命的な出会いとはいかなくても、一緒にスクールライフを満喫できたらどんなに幸せだろうと思ってしまっている。
古来より男と女は切っても切れない関係にある、というのが俺の持論だ。
もしその関係が無くなってしまったら……、どうなると思う?
そう!それはまさにルーの無いカレー、粘り気のない納豆、中年の禿げ頭etc……のようにどうにも味気ないものになってしまうのだ!!
恐ろしい世の中だ、想像を絶するとはコレを表すために生まれてきたと言っても過言ではない。
しかし幼馴染や(省略)なんてステータスを持つ子が俺の身近に居るのか?
いや、居るわけがない。居たらとっくに声かけてるっての。
まぁ、そんなこんなで俺もそろそろ高校二年生、つまり俺の人生設計図を組み立てる上で大事な時期に来てしまったわけだ。
子供の頃夢見たプロ野球選手なんて選択肢は、すでに俺の人生と言う名のシナリオからは修正液の後さえ見えないぐらい綺麗サッパリと消されてしまっている。
それなら、勉強して大学行って会社に入って結婚して子供は三人に白い大きな犬のジョンソン君。
庭付き一戸建てに家族仲良く云々なんてかんじな極一般的で人並みな夢をひそかに胸中に抱き始めた俺は、今の目標を見失わない為、春休み初日から「幸せへの階段」というタイトルで日記を書き始めた
やればできる子なんです!俺は!
運命なんかに俺の人生設計を崩される訳にはいかない、>がんばれ俺!ファイトだ俺!!幸せな家庭と庭付き一戸建てのために!!
ジョンソン君は…まぁいいか、大変そうだし。
もし、俺が何らかの突然変異で未来を予知できる力を得たとしたら、これから起こる出来事を見て何を思い、何をするのかというのに非常に興味がある。
しかし、それこそ漫画やゲームの話。人間に先のことなんて分かるわけが無い。
だから、目の前にそびえ立つ運命に対策を立てることなんてもってのほか。人生はいつだって唐突だ。
ただ一つ分かることは。
今みたいに余裕ぶっこいて呑気に鼻くそ穿ってはいられないということくらいだ。