…Story…
□光 02
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「ほら、早く行くで!?」
自転車から私を降ろし、腕を引っ張られて2人、走った。
後ろで寂しく自転車がカシャンと音を立てて倒れた…。
この人は誰?
名前は??
でも…その前になんでこんな私と一緒にいるの??
私はこの人と一緒に居てもいいのだろうか…
だって私は……
「せや。」
いきなり足を止めて私は前にこけそうになった。
「わぁっ!」
「おっと、いきなり止まってすまん…」
私を受け止めて向かい合いの形をとる。
「な…なんですか??」
「君の名前聞いとらんなて思うて。」
「名前…」
咄嗟に出てこない、忘れたような物だし。
まともに呼ばれたのって何年前??
「どないしたん?」
「あ、ううん、私は朱里(しゅり)。」
あ…まだ自分の名前覚えてたのか、私。
「俺は雪隆(ゆきたか)。大阪…って口調からして分かるよな。」
照れくさそうに右手で鼻の頭をかく。
その仕草が大人っぽかったはずのイメージを崩し、一気に子供っぽくさせる。