korokoronomori

□今日の目標
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ちなみにオレは、ごく平凡な男子校生だ。
名前まで平凡な田中だ。
田中忠直(たなかただなお)という。

少し茶色くはあるが、染めてもない普通の髪に気崩したりしていない制服。
本当に、どこにでも埋もれてしまいそうだとよく言われる。

実際、埋もれそうなんだけどな。
と、いうのもオレの身長は平均より少し…いや、まあ正直に言うと10センチくらいは低い。

通っている高校が男子校なために、余計に小さいのは目立つわけだが、伸びないものは仕方が無いだろ。
両親の身長からしてみても、オレがこのあと劇的に急成長するなんてことはないはずだと妙な諦めもある。

とりあえず、こんなオレに1年でバスケ部のレギュラーをとった諏訪慎吾なる人気者が接触してくる理由はまったくないわけで…。

心当たりのないものを何時までも考えていても仕方が無いと昨日の一件はすっかり忘れてしまっていたころにそのメールは届いた。

from:○○○@△△.jp
sub:今日の目標
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握手をする

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今日は握手らしい。
握手…握手、ねえ?

不審に思いながらも靴箱に靴を仕舞っていると突然、目の前を塞がれてびっくりした。

見上げると、大きな身長。

ここは1年の靴箱はないはずだけど、なぜだかそこには諏訪慎吾が立っていた。

「ああああのっ」

ものすごくどもりながら、大きな手を差し出される。
さすがバスケの選手。

ゴツゴツした大きな手は、華奢のオレの手とは作りから何からまったく違うものの気がして思わず見つめてしまった。
 
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