捧物

□14000hit御礼キリリク(香雪さまへ)
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梢綾を着替えさせ、布団に寝かせると、氷枕を作り、氷水に浸した手拭いを固く絞って額に当てた。

しかし、どうしたものか。ただの風邪ならよいのだが、先程も脳裏を過った、性質の悪い虚にやられていた場合。……。これは、四番隊に往診してもらうか?

ヤローは俺が絶対に嫌だったので(家村三席なんて最悪だ)、虎徹勇音に伝令神機で連絡を取った。虎徹は、たまたま宿直で救護詰所にいたので、すぐに来てくれた。

「檜佐木くんの具合が悪いんじゃなかったんですね」

「俺の具合が悪いんなら往診頼むのに自分で連絡するかよ。っつーか、連絡できるくらいなら自分が行くわ」

「でも、まさか檜佐木くん家に砕蜂隊長がいるなんて。噂、本当だったんだ」

「うっせーな。それより早く診てくれよ」

「はいはい。檜佐木くんは、あっち行っておいて。いくら彼氏でも、診察中の女性を覗くもんじゃありません。卯ノ花隊長に言いつけますよ?」

「分かったって。あのさ…、これだけは聞いときたいんだけど、性質の悪い虚(ホロウ)の仕業とかじゃねえよな?」

「さあ…。とにかく診てみないことには。でも、私の手に負えなかったら卯ノ花隊長を呼びますから」

「そうならないことを祈る」

しばらくして、虎徹に呼ばれた。

「虚の仕業とかじゃなさそうよ。過労と、最近、朝晩が急に冷え込んだことが原因だと思うんだけど、まあ、ぶっちゃけ、ただの風邪ね。それにしても、まだこの季節で寝冷えっていうのもね…。檜佐木くん、何か心当たりでも?」

こいつ、段々と卯ノ花隊長に似てきたな…。確かに思い当たる節がないではなかった。現世任務に赴く前、梢綾を抱いた後、そのまま二人して朝まで眠ってしまったのだ。いくら抱き合っていても裸でさすがに朝までとなると、冷える。

「薬、出しておきました。熱冷ましは今、飲んでいただいたから、どうしても熱が下がらない時に頓服で飲んでもらってください。それと、こっちは1日3回食後にね。あとは水分補給と、檜佐木くんがしっかり看病すること。頑張ってね。以上っ!」

虎徹はそう言って帰っていった。
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