捧物

□11000hit御礼キリリク(椏吏さまへ)
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今回は、新緑の美しい高原のリゾートホテルでのお泊まりデートにしてみた。砕蜂隊長は元来あまり現世は好きではないが、最近では俺の家で現世の雑誌を熱心に見ていることも多い。どうやら満更でもなさそうだ。

ただ、彼女は現世用のワードローブをあまり持っていない。いつだったか買った男前な白いTシャツにデニムにスニーカーくらいだろう。でも、着たところをまだ拝んでいないので、高原リゾートということなら、そんな格好でもよいのではなかろうか。

そこで行き先を告げると、その前にショッピングがしたい、という。…珍しい。砕蜂隊長の現世嫌いの最大の理由は人混みなのに。まあ、平日なら空いているか。

という訳で、穿界門を目的地のすぐ側に開けばよいものを、いったん街のど真ん中のビルの屋上、というややこしい場所に設定して、今回の現世デートは、砕蜂隊長のお買いものにお付き合いするところからスタートした。

彼女は、以前に買った、ボーイッシュな格好でやってきた。最初の目的地に着くと彼女は、

「半刻ほどで戻るから、待っていろ。」

と言って、あっという間に俺の視界から消えた。仕方がないので忠犬よろしく待つこと30分。律儀に彼女が戻ってきた。何やら沢山紙袋を提げている。この短時間によくもこれだけ。

(さては、先にチェックしていたな…。)

と思ったが、あえて口には出さなかった。

そこから公共の交通機関を使って移動する。最初は車窓からの風景を子どものように見ていた彼女だが、やがてトンネルが続くようになると飽きてきたのか、うつらうつらとし始め、俺の肩にもたれかかってくる。昨日は朝が早いから、と俺の家に泊まったのだが、遅くまで何やら熱心に見ていたのは、さっき買った洋服やらが載っている雑誌だったのだろう。

寝顔を見るのにはそろそろ慣れてきたが、こんな、まっ昼間からというのは珍しい。人目もあるので、ちょっと照れてしまう。
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