異世界A
□知られざる世界
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砕蜂もこれには意表を衝かれたれたようだった。
「たしかに私は天涯孤独の身だが、身内の死が不審な死であったかどうかまでは…。父は事故死だが、この目で父が死ぬところを見たわけではないし…。」
彼女は俺以上に困惑した様子だった。
「…そうっスか。でもアナタも一応、知っておいたほうがいいでしょ。」
「砕蜂、大丈夫じゃ。もしお主が危ない目に遭いそうになったら、駆けつけてやる。」
と四楓院先生が言った。ということは、先生も浦原さんと同じく「この世ならざる者」なのか?
「事故死ねぇ…。」
浦原さんはしばらく考え込んでいたが、やがてニパっと笑って、
「まあ、繰り返しになりますが、今のところは心配することはないでしょ。雨も上がったことですし、今日のところは、お帰んなさい。」
制服もいつの間にか乾いていて(まさか、あの怪しげな発明品とかでで乾かしたんじゃないだろうな、と思ったが制服は無事だった)、借りていた浴衣から着替え、丁寧に御礼を言って、浦原商店を後にした。
その帰り道。あの土砂降りの雨はすっかり止んで、雲の切れ間から星が覗くくらいだった。そうはいっても、夕飯をいただいていたりしていたので、時刻はかなり遅くなっていたこともあり、砕蜂を家まで送りながら、浦原さんに言われたことを反芻していた。