異世界A
□傷に隠された秘密
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しかし、浦原さんがそうそういったものが見えるということは…?
「浦原さんに、そういったものが見えるってことは、浦原さんは『霊力』が高いってことですよね。…そして、同じような性質の人間を感じ取ることができる、と。」
「ご明答。アタシだけじゃありません。夜一サンや…、結構、多いんですよ。アナタの回りには。」
「そうなんですか?」
「そういうものが『見える』人は少なくとも霊力を持っている人なんです。ただ、霊力がある人がみんな魂魄が見えるとは限らない。『何か』をきっかけにしてある日突然見えるようになる人、その反対に見えなくなる人もいます。さらに言うと、ある程度の霊力を持っていると、その人の霊力がどれくらいのものかを感じることもできます。ここまで言えば、アタシが言おうとしてること、分かりますよね。」
「俺にもいくらか霊力があるということですか…?」
「その通り。それで、不躾なのは承知でアナタの顔の傷について訊いたんです。でも、あなたは、『その傷を付けたもの』が何であるかは判らないと仰った。そして、幽霊だとかその類のものを『その怪我をして以来』見ていないとも仰いました。」
「じゃあ、俺はこの怪我をしたのを切っ掛けに、…魂魄…が見えなくなった、ってことですか? でも、あれに襲われる前でも魂魄なんてものを見たことなんてないですよ。」
「それは、アナタが幼すぎて、魂魄と生きている人間の区別がつかなかったからじゃないでしょうか。」
たしかに、あの頃のことなんて小さすぎて、覚えてはいない。というか、俺にとって一番古い記憶というのが、この顔を怪我した時のことなのだ。