異世界A
□浦原家の食卓
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一方、砕蜂は。四楓院先生のジャージを借りて、つくづく自分の貧相な体型を疎ましく思っていた。せっかくのテッサイの料理も美味しくいただけない。
檜佐木は浦原の浴衣を着ているが、特に遜色はない。2人とも随分と背が高い上に体格が良いのだな、とぼんやり思った。夏祭りのときに同世代の男子が着ているような浴衣と違って、浦原の浴衣を着ている檜佐木は、大人びて見えた。と、
「……。砕蜂、それしか食べぬのか?」
と四楓院先生の声が聞こえてきた。
「もっと食べなくては体力が付かぬぞ。」
そうか。私は少食で、あまり食べられない。一方、先生は食欲旺盛だ。
「あ、あのっ。私…、小さい頃から食が細くてあまり沢山食べられないんです。お料理はとても美味しいのですが…。申し訳ありません。たしかに私は体力を付けなくてはいけませんね。この前みたいに、いざというときに体調を崩してはいけませんし。」
「そのことは気にするな。ところで砕蜂、乳製品はよく摂っておるか? 牛乳はよいぞ。ほかにもチーズやヨーグルト、何でもいい。」
「はあ…。」
すると浦原が、
「そうそう。牛乳を沢山飲むと、お胸も大きくなりますよん。私の発明した…」
と、余計なことを言いかけて、四楓院先生が腹に肘鉄をくらわせていた。どうも私は、浦原を人として好きになれそうにない。