異世界
□孤独感
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翌朝。ああ、学校に行かなくては。重たい腰を上げて、学校に向かう。
檜佐木がいつものように声をかけてくるが、私は無視した。
――その時、普通に返事ができていれば、あんなことにはなっていなかったのかもしれない。でも、一度気まずくなってしまうとどうしようもない。
休み時間が、長く感じられた。これまであまり気にしていなかった「雑音」が耳に入ってくる。
女子の他愛の無い会話の中で、檜佐木の名前が時々出てくるのに気づいたのは、「あの日」から二〜三日ほど経った時のことだろうか。
「ねぇ、ねぇ。檜佐木くん、今日も1人だよ。宿題、教えてもらおっか。」
「そんなこと言いながら、ちゃっかり自分を売り込もうなんて、ズルいってば。」
「え〜。だって最近ずっと砕蜂さんと『二人だけの世界』〜って感じだったんだもん。どしたのかな? ケンカでもしちゃったのかな。」
「こらっ! 聴こえるから止めなよ。」
「でも、檜佐木くん、結構イケてるのに、彼女いなかったもんねぇ。」
「狙ってるとまではいかなくても、憧れてる女子は多いだろうね。」
そうか。そのように見られていたのか。私はともかく、檜佐木には悪かったな。あらためてそう思った。