異世界
□和解
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砕蜂は呆れながらも再び続けた。
「まあ、その話はいい。それで、いざ檜佐木から離れたら、自分でしたことなのに、『自分がまったくの独りだ』ということを嫌というほど思い知った。我儘なものだな。こういう気持ちを味わうのは初めてだ。これが〔淋しい〕ということなのだろうか。」
「だったら、あんなに俺のこと避けなくてもよかったんじゃねえの?」
「自分でもどうしていいか、わからなかったのだ。」
(…ったく、素直じゃねえなぁ…。)
「ところで腕、もう離してくれないか?」
俺は彼女の腕を掴んだままだったのを思い出して、慌てて離した。
「わ、悪ぃ。」
「構わん。その代わり、私が今話したことは、誰にも言うな。」
「ああ。分かった。」
「でも、不思議だな。他人に自分のことをこんなに話すのは、檜佐木が初めてだ。」
「お、おぉ? そうなのか?」
妙に素直な砕蜂に、俺はかえって狼狽えた。