異世界
□捕獲?
2ページ/3ページ
――やられた。
だいたい、どうやってあの二階の窓から「脱走」した? 飛び降りたのだろうか?
仕方なく俺は、独りで家に帰った。
その日はバイトが入っていたので、学校の鞄を置くと、私服に着替えてバイト先のコンビニに向かった。
生活費は何とかなっていたが、それだけでは心許ない。小遣い程度は自分で稼がなくては、と校則で禁止されているわけでもないので、手っ取り早く駅近くのコンビニにした。あんまり近所の人や学校の奴らとは遇いたくないが、致し方ない。
その日も夜の10時で仕事を上がり、コンビニの制服を着替えて店の奥から出てきて、
「お先に失礼しま〜す。」
とレジのほうに向かって次のシフトの人に挨拶をして帰ろうとした時だった。
会計を済ませるウチの学校の制服の女子生徒が目に入った。
――砕蜂?
向こうも俺の声に気付いたようで、振り向いた。と同時に、ダッと駆け出していた。レジ係の人が、
「お客さん、お釣り、お釣り〜っ!」
と慌てて呼び止めるが、砕蜂は店を出ていってしまった。
俺は、
「スンマセン。預かっといてください。俺、追いかけますから。」
そう言って後を追った。