異世界
□心配
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朝、学校に向かう途中に、隣のクラスの斑目一角に声をかけられた。一角の相棒の綾瀬川弓親も一緒だ。2人は幼なじみで、いつもつるんでいる。
一角は、実家が寺だ。スキンヘッドなのが柄の悪そうなのを際立たせているが、実は良い奴だ。成績だって悪くはない。だが、とにかく喧嘩っ早い。その特異な外見からしょっちゅう喧嘩を吹っ掛けられ、売られた喧嘩は必ず買う。そして勝つ。
実家が寺なので、礼儀作法だってきちんとしようと思えばできるのだが、親父さんがまた変わった人で、「喧嘩上等」が座右の銘なのだそうだ。坊さんがそんなことでいいのだろうか? だから檀家が逃げて貧乏寺になるんじゃなかろうか?
一方、弓親は一角の寺の数少ない檀家で、見かけは大人しく見えるし、お洒落だ。が、こちらは完全に外見を裏切って、やはり「喧嘩上等」の口だ。一角ほど喧嘩を売られることはないが、なまじ容姿が良いのと、意外に口が悪いのとで、喧嘩になることがよくある。そしてやはり、売られた喧嘩は必ず買う。そして相手を徹底的にボコる。
そんな2人だった。
「よう、檜佐木。最近お前、あの転校生と仲良いって? 付き合ってんのか?」
「そんなんじゃねえよ。俺、優等生してるから、担任の京楽センセから面倒見てやれって言われててさ。」
「でも、その割にはやけに熱心じゃないか?」
弓親が突っ込む。
「マジに違うって。」
俺はちょっと内心慌てていた。もしかして、噂になってる…?
確かに、砕蜂はなかなか女女子の輪の中にも入っていかないし、休み時間も俺といることが多い。
このままでは彼女が孤立してしまう…? いや、すでに孤立してるか?
俺は心配になった。