駄文(短)

□誕生日(修兵)2013ver.B
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夏休みに入ったが、今年は受験生なので、予備校の夏期講習で、これまでになく忙しい。

夏期講座が始まって数日が経った頃、伊勢と雑談をしていた時のこと。

「砕蜂さんは、予備校がお盆休みの時は何か予定がある?」

「いや…。特に。予備校が閉まっている間は図書館にでも行こうかと…。」

「自習室だけは開放してくれてもいいのにね…。まあ、3日間くらいだから、いいんですけど。」

「そうだな…。」

会話はそこで一端途切れたのだが、伊勢がふと、

「あ、そういえば、檜佐木くん、8月14日が誕生日らしいですよ。」

「…それが何か?」

「ううん、何でもない。けど、ついつい思い出して。私、檜佐木くんとは1年生からずっとクラスが一緒なんだけど、毎年夏休み明けに、誕生日を誰にも祝ってもらえなかった、って愚痴っていたから。ご家族がいないし、ね…。」

私も誕生日など、祝ってもらった記憶はない。母は早くに他界していたし、父はおおよそ、そのようなことをする人ではなかった。だから、誕生日を祝う、という感覚が正直理解できないところがあるのも事実だ。
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