駄文(長)


□仲直り
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砕蜂隊長には、悪いことをした。あれは、彼女なりに俺のことを気遣って、わざわざ来てくれたに違いない。

でも、俺の心はささくれだっていて、部下に当たれない分、砕蜂隊長に当たってしまったのだと思う。

ただ、砕蜂隊長自ら、九番隊に来たことで、隊士たちが何か隠密機動に疑われているのではないかと、動揺しているのは明らかだ。早々にお引き取りいただいたのが正解だろう。

その日は俺は朝から体調も悪かった。立ち眩みがするのだ。吉良が何とか立ち直ろうと鍛練に励みだした、というのに、なんて情けないことだろう。あいつだって俺と同様の立場だろうに。

それでも部下にはこれ以上、余計な心配や負担をかけたくなかった。無心に業務をこなし、席から立ち上がった瞬間、俺はふっと意識が遠のいていった。

「檜佐木副隊長!」
「檜佐木さんっ!」


部下たちが必死に俺を呼ぶ声がしていたが、それもすぐに聞こえなくなった。
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