駄文(長)


□旅禍事件
1ページ/6ページ

8月に入り、それこそ「大事件」が起こった。旅禍数名がこの尸魂界ばかりか、瀞霊廷内に侵入したのだ。

あの朽木ルキアが死神の力を譲渡した人間・黒崎一護およびその仲間が、朽木ルキア奪還を目的に、とのことである。黒崎一護については信じ難い。朽木ルキアがこちらに連れ戻された際に死神としての力は消失し、死亡したはずではなかったのか。しかも斬ったのは六番隊の副隊長・阿散井恋次と朽木隊長だ。

まず、人間は魂魄の状態にならなければ、つまり死にでもしなければ、尸魂界に来ることはできない。まして瀞霊廷に入ろうと思えば四つの門のどれかをくぐるか、遮魂膜を通過しなくてはならない。

白道門では門番の児丹坊を倒したものの、市丸隊長によって阻止されたとのことだ。だが市丸隊長は旅禍を取り逃がしてしまい、市丸隊長の不手際を詰問する緊急隊首会が行われている最中、旅禍たちは遮魂膜を通過して瀞霊廷に侵入してきた。通常の霊子濃度では遮魂膜を通過するのは不可能とされているにもかかわらず。

もっとも、それについては流魂街の花火師・志波空鶴が手を貸したという情報が追って入ってきた。目撃情報によれば、旅禍は砲弾のようなものを使って遮魂膜を通過した直後、四手に分散したらしい。当然、俺たち九番隊も旅禍捜索に出た。


瀞霊廷内はたちまち大混乱に陥った。そんな中、不吉な情報が入ってきた。あの十一番隊第三席の斑目一角が、旅禍の1人と一戦を交え、負傷したというのだ。あの斑目さんが? ただ、不思議なことに、旅禍は斑目さんに止めを刺すどころか傷の手当てをして立ち去ったというのだ。なぜ? 


砕蜂隊長たちは、隠密機動として出ているのだろうか。いくら旅禍たちが得体の知れない力を有していたとしても、まあ、あの人に限っては、気遣いは無用だろう。


だが、何か嫌な予感がしてならなかった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ