駄文(長)
□お泊まり
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俺は檜佐木修兵。九番隊副隊長だ。
最近、時々、――といっても、ひと月に1〜2回あるかどうかだが――、二番隊の砕蜂隊長が俺のウチに晩飯を食べに来るようになった。
きっかけは、話せば長い。が、直接のきっかけは、砕蜂隊長が遠征帰りにフラりと俺のウチに寄ったことだった。彼女は余程疲れていたのか、晩飯を食べたら眠ってしまった。朝にはもう姿はなかったが。
その日、早速いつもの昼休みの弁当を届けた時に、
「晩飯、よろしければ、また、いつでもどうぞ。」
と、ヘタレな俺が勇気を振り絞って言ってみたところ、
「なら、またそのうちにな。あれは、なかなか美味であった。それに何より貴様の家の中は面白い。今度、ゆっくり見せてくれ。」
と、思いもかけない答えが返ってきた。
(よっしゃ! 一歩前進っ!)
「じゃあ、来られる時は、俺の伝令神機に連絡ください。そうすれば、もう少し色々と用意ができますんで!」
と、ウキウキと言ったものだ。すると、砕蜂隊長は、
「ん? 他隊である貴様の番号など知らぬぞ。後で大前田にでも訊いておくか。」
などと、とんでもないことをのたまうものだから、
「だ〜っ! 今ここでお伝えしますよ。だから、砕蜂隊長の番号も教えてください!」
と勢いで言ってしまった。
(大体から、大前田さんにそんなこと訊いたら、後で俺、何を言われるか分からないじゃないですかっ!)
しかし、そんな俺の心配を余所に、
「…何をそんなに慌てているのだ?」
と怪訝な顔をしながらも、番号を教えてくれる天然な砕蜂隊長だった。
……まあ、二歩前進といったところか。