駄文(長)
□晩御飯A
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とりあえず、砕蜂が風呂に入ってくれたようなので、檜佐木から声をかける。
「砕蜂隊長〜、風呂、入られましたかぁ?」
「ああ。」
「湯加減は、いかがですかぁ?」
「うむ。ちょうど良い。」
「じゃあ、洗濯機回しに入りますよー。」
「待て。洗濯機を使うところが見たいから、後にしろ。」
「え、じゃあ、とりあえずメシ作ってまーす。」
檜佐木は早速、晩御飯の準備に取りかかった。まさか、こんなことになろうとは思いもよらなかったので、慌てて冷蔵庫を覗き込んだ。一応、弁当用の食材は買い込んでいたが、すぐに出来るもの…。
米は、まだ炊いていない。急いで磨いでも間に合わないか…。幸い、2人分くらいの白ご飯は、冷凍庫にあった。
具だくさんの味噌汁を作り、鯵の開きを焼く。ほうれん草を湯がいて、おひたしを作ったところで、不意に背後から、
「上がったぞ。」
と声がした。
「ひっ! いつの間にっ!?」
「檜佐木、自分の家だからといって油断するな。私が暗殺者なら、貴様の命はとっくに無いぞ。」
「いや、でも、俺、殺されるような覚えありませんし。」
と言ってから、まじまじと砕蜂の格好を見てみると、それは実に悩ましい姿だった。
いつもは袴で隠れている脚が、パーカーの裾からスラリと伸びている。襟元も、鎖骨が見えているどころか、肩からずり落ちそうだ。十番隊副隊長・松本乱菊のような胸の谷間とは言わないが、それなりの2つの膨らみがチラチラと見える。
2人の身長差から、角度によっては、かなり際どいところまで見えてしまいそうだ。檜佐木はカーっと顔に血が昇るのを自覚した。しかし、当の砕蜂は、
「ふん、甘いな。で、洗濯機を使ってみせろ。」
……まるで自覚無しであった。