駄文(長)


□晩御飯@
1ページ/5ページ

最近、昼にしっかりと食べるようになった。

全てはあやつ、九番隊副隊長・檜佐木のせいだ。昼休みになるといつも当たり前のように弁当を持ってやって来る。

最初は迷惑極まりないと怒っていたが、少しスタミナもついたような気がするので、まあ、よしとしよう。

だが、明日からしばらく、演習を兼ねた遠征をすることになったので、半月ほど留守にする。その間は、あやつのへらりとした顔を見ずに済む。

だから、今日の昼休みに言ってやった。

「明日からしばらく遠征に出るから、もう当分、弁当は要らぬぞ。何なら今日で最後でも構わん。」

最後の一言は、自分でも可愛いげのない憎まれ口だと思った。が、これで檜佐木が来なくなったら、それまでのことだ。つまらぬことで思考を掻き乱されることもなくなるだろう。

しかし檜佐木の反応はというと、
「ええ〜っ。しばらくいらっしゃらなくなるんですか? で、お帰りはいつなんですか。」

最後の一言は、見事にスルーされた。

「ま、まあ、半月というところだな。」

「そっすか…。しばらくお会いできないのは淋しいっすね。」

「私は別に淋しくなどないわっ!」

「じゃあ、お帰りは11月の○日っと…。」

「……貴様、人の話を聞いていたか?」

「え? 遠征にお出かけになるんでしょ? 暦に印がしてある日がお帰りになる日ですよね。よし。それまで新しいメニューを研究しておかなくては。」

そして、午後の始まりを告げる予鈴とともに、檜佐木は帰っていった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ