駄文(長)
□晩御飯@
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最近、昼にしっかりと食べるようになった。
全てはあやつ、九番隊副隊長・檜佐木のせいだ。昼休みになるといつも当たり前のように弁当を持ってやって来る。
最初は迷惑極まりないと怒っていたが、少しスタミナもついたような気がするので、まあ、よしとしよう。
だが、明日からしばらく、演習を兼ねた遠征をすることになったので、半月ほど留守にする。その間は、あやつのへらりとした顔を見ずに済む。
だから、今日の昼休みに言ってやった。
「明日からしばらく遠征に出るから、もう当分、弁当は要らぬぞ。何なら今日で最後でも構わん。」
最後の一言は、自分でも可愛いげのない憎まれ口だと思った。が、これで檜佐木が来なくなったら、それまでのことだ。つまらぬことで思考を掻き乱されることもなくなるだろう。
しかし檜佐木の反応はというと、
「ええ〜っ。しばらくいらっしゃらなくなるんですか? で、お帰りはいつなんですか。」
最後の一言は、見事にスルーされた。
「ま、まあ、半月というところだな。」
「そっすか…。しばらくお会いできないのは淋しいっすね。」
「私は別に淋しくなどないわっ!」
「じゃあ、お帰りは11月の○日っと…。」
「……貴様、人の話を聞いていたか?」
「え? 遠征にお出かけになるんでしょ? 暦に印がしてある日がお帰りになる日ですよね。よし。それまで新しいメニューを研究しておかなくては。」
そして、午後の始まりを告げる予鈴とともに、檜佐木は帰っていった。