異世界C
□お風呂場での災難
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不覚にも、風呂で逆上せて倒れてしまった。助けを呼ぶのは恥ずかしすぎる。早く動け、私の身体。……と、勢いよく脱衣場の扉が開いた。
「大丈夫かぁっ! 砕蜂っ!」
(ひっ!!)
私は声にならない声を上げたが、ぼんやりと視界に入ってきたのは四楓院先生だった。……よかった…。だが、続いて、
「砕蜂っ! 大丈…夫……あ……」
と檜佐木まで飛び込んできた。大馬鹿者っ! いくら心配だからとて、こんな恥ずかしいところを見られてたまるか!! すると先生が、
「檜佐木、馬鹿者っ! 退けっ!」
と一喝して私を抱え上げたかと思うと、次の瞬間、私は二階の部屋にいた。先生が手早く布団を敷いてくれて、私はそのまま寝かされ、てきぱきと寝巻きに着替えさせられた。
「檜佐木〜っ! 洗面器と手拭い、氷水を持ってこい! 」
先生に言われるまでもなく、檜佐木はスポーツドリンクまで持って2階に上がってきた。が、さっきのことがあるからか、廊下で四楓院先生に手渡すと、部屋には入ってこなかった。ぼそぼそと、
「……砕蜂、大丈夫ですか?」
「風呂で逆上せただけじゃろうが、何ゆえこのような時期に……。何ぞ考え事でもしておったのか?」
「さあ……。とにかく砕蜂のこと、よろしくお願いします」
「……よいのか?」
「……。……」
何やら話しているのが部分的に聞こえていたが、やがて、先生だけが入ってきた。そして、
「どうした? 何ぞ考え事でもしておったか?」
と、優しく尋ねて下さった。