異世界C

□浦原商店の夜@
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気がついたら、私たちなどそっちのけで、四楓院先生の「進路指導プロジェクト」は進行していた。先生は教職員に片っ端から電話をかけていた。しかし、いくら四楓院先生から話を聞いているからといって、浦原はやけにウチの高校の教職員の面々に詳しい。涅先生は大学の研究室で一緒だったというが、他の先生方まで、……まるで旧知の間柄のように。

とくに、私たちの、どの教科のどの分野が苦手か、などについては、浦原が四楓院先生の代わりに説明していた。……いつの間に? 油断も隙もない。ふと気がつくと、檜佐木がもの言いたげに私を見ていた。

「……あの、さ。大学なんだけど、浦原さんと涅先生が出た大学って……」

言わんとすることは分かっていた。2人が出た大学は、国公立の中でもかなりの難関校だ。ものすごくハードルが高くなってきた。

「とりあえず、勉強するか。先生と浦原さん、しばらく電話、続くぜ?」
「……そうだな」

私も四の五の言わずに、勉強道具を取りに行って、まずは予備校の課題を片付けることにした。
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