異世界C

□進路指導プロジェクト
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四楓院先生は、私の腕を取ると、茶の間に降りていくよう促した。

「あの、先生!?」
「まずは檜佐木からかのう。医学部のほうが難しいが選択肢は限られる。あと、医学部と薬学部が揃ってある大学……」

そんなことを言いながら、茶の間に入っていく。そして、檜佐木に向かって直球ど真ん中で問うた。

「檜佐木。お主は志望校はもう決めておるのか?」
「へ? いえ、まだ……。成績表とも相談ですが、何より経済的に、私立は無理です。あと、できれば下宿も避けたいかと…」
「ふむ。……儂もよう考えたら、体育大学以外の大学の進路指導はしたことがなかったのう。こういうのは、まず担任の京楽かの?」

すると、浦原さんが、

「京楽サンは現国で、文系じゃないっスか。強いて言うなら理系で医学部出身の涅サンですけど、涅サンはちょっと、ね…?」

思わず、コクコクと無言で頷いた。百歩譲って涅先生の頭脳は認めるとしても、あの人が誰かの「相談」にまともに乗ってくれるとは思えない。
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