異世界C

□浦原の考え事
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その日はとりあえず何事もなく過ごし、浦原商店に「帰宅」した。いつもなら、もっと自習室で粘るのだが、世話になっている以上、夕飯の時間に間に合わないのは失礼だ。

浦原商店に帰ると、ちょうど夕飯の時間だった。いくらテッサイさんが惣菜の類いを沢山作り置きしてくれているからといって、雨(うるる)一人にあれだけの量の夕飯作りを任せるのは、些か気が引けた。

「雨(うるる)ちゃん、何か手伝うことないか?」

と声をかけると、

「……お帰りなさい。こちらは大丈夫ですから。スミマセン。遅くなってしまって……。もうすぐ出来ますから…」

と、相変わらず健気な返事だった。すると、四楓院先生が、

「雨、そう固いことを言うな。今日は儂が手伝おう。お主らはあっちに行っておれ」

と追い払われた。仕方がないので、茶の間に行くと、浦原さんが物言いたげな顔をして座ってこちらを見ていた。回れ右してどこかへ行こうとする砕蜂を捕まえて、

「どうかしました?」

と尋ねると、

「ええ、まあ。ちょっとね。あれからアナタ方の霊圧がなぜ今まで封じられていたのか、色々、仮説を立ててみたんスよ。それでたどり着いた結論が……」
「何だったんですか?」
「いやあ、やっぱり分かりませんでしたぁ」

と気の抜けたような返答。すると砕蜂が、

「馬鹿にするのも大概にしていただきたい!!」

と、怒鳴った。

「こら、砕蜂っ! 何てこと言うんだ!」

と言ったものの、砕蜂は俺の手を振りほどいて茶の間を出ていってしまった。

「おいっ、待てよっ!」

と呼び止めたものの、浦原さんにやんわりと遮られた。

「放っておいておあげなさい。アタシももう少し物の言い方を考えなくちゃぁいけませんでした」

と、帽子を脱いで自分の髪の毛をわしわしと掴みながらそう言った。
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