異世界C

□朝の予備校にて。
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浦原商店を出ると、やはり昨日のように、よく見てみると、白いぼうっとした影のようなものがみえる。その存在自体が怖いわけではないのだが、そんな存在を感じることができるようになって、世界観が一変してしまったことに、漠然とした不安を覚えた。気がつくと、私は檜佐木の服の端をしっかりと握っていた。

檜佐木に、

「怖いのか?」

と聞かれて慌てて放すほど、無意識の行動だった。どれだけ檜佐木に甘えているのか、自分でも恥ずかしくなった。

そうこうしているうちに、予備校に着き、虎徹に会った。

「おはよ。砕蜂さん、檜佐木くん」

そこで、虎徹しげしげと私たちの手元を見ていた。

「どうしたの? 2人でお揃いのリストバンドなんかして」
「べ、別に」

心臓がバクバクしている。すると檜佐木が、

「ああ、これな。記憶力を高めるのに良いって聞いて試してるんだ。な?」

と、私に振った。私は脳をフル稼働させて咄嗟に、

「そ、そうだ。何かを覚えるときに、決まった色を見て、その色に関連付けて覚えるようにすると良いと聞いて……」

もちろん、デマカセに決まっているが、虎徹は、

「へえ。そうなんだ。私も試してみよっかな」

……。上手く誤魔化せたようだった。
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