異世界C

□消灯時間
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浦原さんの話題はそこで終わりとなり、また黙々と課題をこなし始めた。風呂から上がってきた四楓院先生が、

「おう、まだ頑張っておるのか。儂は先に休ませてもらう。喜助も多分、風呂から上がったら寝に行くじゃろう。まあ、ほどほどにな」

そう言って、2階に上がってしまった。そしてしばらくすると、浦原さんも、廊下からチラリと顔を覗かせると、

「じゃ、アタシも先に休ませていただきます。あ、そうそう。ウチは朝ご飯、だいたい6時半頃なんで、そのくらいには起きてきてください」
「あの、お手伝いは?」
「まあ、そんなに豪勢な朝ご飯じゃありませんから、用意と言ってもそんなにありませんよ。ご飯はタイマーをセットしてますし、お味噌汁を作るくらいっスかね。でも、分量が分からないでしょうから、とりあえず明日の朝は雨(うるる)がしますよ」
「……スミマセン」
「まあ、こんな時くらい遠慮なさらず。寝に行くときは、ここの灯りだけ消しておいてください。じゃ、お休みなさ〜い」

そう言うと2階に上がって行った。浦原さんがいなくなると、ようやく砕蜂が口を開いた。

「……子どもに朝ご飯を作らせるのは気が引けるな」
「同じくらいに起きて、手伝うか」

そう言うと、また黙々と課題に取り組んだ。古めかしい振り子時計がやけにカチコチと響く。チラリと砕蜂を見ると、パジャマの襟元から覗く胸元にドキンとして、慌てて目を逸らした。そのうち、時刻も日付が変わる頃になってきた。砕蜂が珍しく、ふわりと欠伸をした。

「そろそろ、寝るか?」
「あ、ああ。明日は寝過ごしてはいけないしな」

言葉に出してから、妙に照れてしまった。別に一緒に寝るわけではないのに。こんなことであと数日、俺は理性を保つことができるのだろうか?
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