異世界C

□なぜだか嫌い。
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浦原が茶の間にいる間、何ともいえない沈黙が私たちを支配した。何なのだろう、この空気。浦原は一向に気にする様子もなく、扇子を時々パチンといわせながら、私たちの様子を見ている。その表情も長い前髪に隠れて窺い知れない。何だか居たたまれなくなって、参考書を部屋に取りに戻ると言って茶の間を出た。

〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*

砕蜂が出て行き、浦原さんと2人になった。何だか気まずい。しばらく黙って問題を解いていると、浦原さんがスッと音もなく近寄ってきて、

「スミマセ〜ン。心配させちゃいまして。大丈夫ですよ。誰もアナタの大切な砕蜂サンを取ったりはしません」
「……。砕蜂はモノじゃありません」
「ま〜たまた〜。怒らないでください。ちょっと昔を思い出してしまったんスよ」
「……。やっぱり、あいつのことを昔から知ってるんですか?」
「……いえ。砕蜂さんによく似た…別の人っス。夜一サンの大切な、妹みたいな人というか。アタシには夜一サンという大切な人がいますから、砕蜂サンに邪(よこしま)な気持ちを抱くことは誓ってありません」

その時、

「喜助〜。上がったぞ〜!」

と四楓院先生の声が聞こえた。すると浦原さんは、よっこらしょ、と立ち上がり、

「スミマセン。アナタ方を動揺させてしまって。本当にただ、昔、よく似た人がいたのを思い出しただけなんです。忘れて下さい。じゃ、アタシは風呂に入ってくるんで」

と言って、スッと茶の間を出ていった。
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