異世界C

□砕蜂と浦原
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風呂上がりの檜佐木に、私はドキドキしてしまった。おそらく普段檜佐木が家でしている格好。でも私が普段、見ることのない姿。よく考えればTシャツにハーフパンツなど、体育や部活で見慣れているはずなのだが、私もパジャマ姿で、あらためて1つ屋根の下で一緒に過ごしていることを実感してしまう。

思わず赤面して俯いて、問題を解いているフリをする。檜佐木は、

「あ〜、サッパリした。浦原さん家って風呂が大きいから気持ち良いな。足が伸ばせるし」

そう言いながら、向かい側に胡座をかいた。髪はまだ濡れていて、それをかきあげる仕種が妙に大人っぽく見えた。同じ年齢なのに。またドキドキしてしまう。そんな私を知ってか知らずか、

「あ、冷蔵庫に麦茶冷えてるから好きに飲んで良いって。ヤカンごと持ってきたけど、お前も飲む?」
「あ、ああ。ちょうど喉が渇いていたから貰う……」

冷えた麦茶は思いの外、美味しかった。

「今、何してる?」

と檜佐木が覗きこんできた。……距離が近い。

「英語……をしてたら、浦原に突っ込まれた……。あやつ何者だ?」
「……本人は『死神』っつってたけど…?」
「この問題、反対側から眺めていただけなのに、サラッと訳した。古典もリアルに体験してるからOKだと……」
「それって、俺たちより、うんと長生きしてるから、ってことか?」
「……そうなる…か……?」

そこへ四楓院先生がひょこっと顔を覗かせた。

「なんじゃ、お主ら。深刻な顔をしおって。おお、英語か? 儂は洋モノは苦手じゃ。喜助なら分かるじゃろう。古文なら辛うじて分かるんじゃが」
「それは、先生もその時代を生きておられたからですか?」

四楓院先生が、意味深長な笑みを浮かべた。
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