異世界B
□デートの帰り道
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○ックで晩御飯を済ませた後、いつものように砕蜂を送って行く。時刻も遅いので、人通りが少ない。
歩きながら、手が触れた。でも慌てて離す訳でもなく、時々触れるのが楽しくて、そのうち触れた手を捕まえようとすると、ぱっと離されたりする。でも砕蜂の顔は怒ってない。悪戯に成功したと言わんばかりのニヤリとした表情。そうやって、ふざけながら、また歩いた。ああ、俺、幸せ…。
しばらくして、ふと口をついて出た。
「やっぱ、お前、変わったわ」
すると砕蜂は、
「そう思うか?」
と答えた。
「自覚、あったのか」
「そうだな。生まれてこの方、身内にすら、こんなに人と密に接するのは初めてだ」
そう言うと、砕蜂は立ち止まり、俺を見上げた。そしてじっと俺の目を見て言った。
「檜佐木のお陰だ。ありがとう」
俺は心臓がバクバクしてきた。