異世界B

□映画を見に行こう
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今カラ見ニ行クカ?

自分でも思いがけない言葉だった。砕蜂もちょっと驚いた顔をしている。が、

「そ、そうだな。捨てるのも勿体無いし!?」

声が上ずっているように聞こえるのは気のせいだろうか。

こうして俺たちは映画を見に行くことになった。よく考えると、これってデートってやつじゃないか? でも、今までだってファミレスで2人で食事したり、夜の公園で……、考えれば考えるほど、カーッとしてきた。余計なことは考えない、考えない。

さらに。映画はアクションや娯楽作品などではなく、サスペンスに恋愛要素が絡む内容だった。しかも途中の濡れ場がR18指定に引っ掛かるかどうかで少し話題になった作品であることは後で知った。あの野郎……。

「なあ、お前、こんな映画見るの?」

「いや…。普段なら絶対に見ないが…、まあ、リスニングの練習だから、な」

「お、おお。リスニングの練習、だな」

何だか周囲は社会人と思しき女性客や男女の2人連れで、高校生の俺たちは明らかに浮いている。しかし、どうにも後には引けず、高校生が入れる最後の上映時間に何とか滑り込んだ。公開されてからしばらく経っているようで、映画館は空いていた。

俺たちはとりあえず飲み物を買って席に座った。
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