異世界B
□新たな悩み
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昨日見たことで頭がいっぱいになり、今日は寝不足だ。砕蜂もさっき、欠伸を噛み殺していた。
とりあえず、目の前にある受験勉強に集中しなくては。
しかし、ここ数日、虚(ホロウ)などとは別次元で気がかりなことがある。砕蜂にちょっかいをかけてくる男子生徒はいなくなってきたのだが、今度は国語の講師が、やたらと砕蜂に話しかけてくるのだ。国語、とくに現国は、正直、俺も教えられるほど得意ではない。精々、一緒に考えるくらいだ。
伊勢がつかまればよいのだが、授業の後に砕蜂が質問に行ったのがきっかけで、時々向こうから声をかけてくるようになったのだ。
予備校の講師には、大学院生が多い。研究職に就くまでアルバイトとして予備校講師をしているのだが、生活の糧だから、アルバイトと言っても本職の講師には引けは取らない。むしろ、ルックスが良く教えかたが上手いと看板講師になってしまうほどなのだ。件(くだん)の講師は、つまるところ、そういう人気講師の1人なのだ。
確かに、教えかたも上手いし、あの人見知りの激しい砕蜂が普通に会話をしているだけでも俺としては非常に気になる。向こうは大人だ。色んな意味で俺にはない魅力がある。
そんな訳で、さらに勉強に身が入らないのだ。こんなことではいけない。