捧物
□11000hit御礼キリリク(椏吏さまへ)
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新緑の気持ちよい季節となった。現世ではG.Wなどという連休があるそうだが、尸魂界(こちら)にはあまり関係がない。というかむしろ、不慮の事故で亡くなった人たちの魂を成仏させるために、繁忙期といったところだ。隊長格が現世に出向くことはほとんどないが、回ってくる書類整理や決裁に忙しい。
そしてようやく落ち着いた頃、梅雨に入る前を見計らって、俺は砕蜂隊長を誘って現世に遊びに行こうと計画した。いつもの昼休みに弁当を携えて、二番隊隊舎に赴く。
「ちわ〜っす。砕蜂隊長、弁当で〜す。」
「うむ。助かる。そこに置いておいてくれ。」
「あれ? もう昼休みっすよ。まだお仕事片付けないんですか?」
「煩いっ! もう少しでキリが付くのだ。気を散らすなっ!」
(う…。機嫌悪っ。)
「……。檜佐木、一段落ついたら、どこか気晴らしにでも連れて行ってはくれぬか。」
「はい?(今、何つった?)」
「私の休みは暦に印が付いているところだ。貴様が休みを合わせろ。」
淡々と眉一つ動かさず、そう言って筆を動かしているが、うっすらと耳たぶが赤くなっている。
(よ・ろ・こ・ん・で〜っっ!)
と俺は心の中でガッツポーズを決めた。そして、カレンダーに付いている日付を手帳に書き込み、昼休みが終わって隊舎に戻ると急いで休みの調整をした。