異世界A
□プールサイドにて。
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ふと、四楓院先生が言った。
「なんじゃ。お主ら、折角遊びに来ているのに、なぜこんな25mプールにおるのじゃ? 皆と楽しく遊べばよいものを。」
「う…。」
ここはやはり正直に話すか…。
「先生、実は私、泳ぎだけは苦手なんです。」
そう言って、ついでにさっきのことを詳しく話した。
「さっきの一件で、幼い頃の記憶が蘇りました。それで取り乱してしまって…。」
「…そうじゃったか。意図した訳ではなかったが、辛いことを思い出させてしまったのう。……ところで、泳ぎが苦手と言うたな? ならば儂が教えてやろう。体育教師自らの個人レッスンじゃ。ありがたく思えよ。」
「本当ですか?」
「ああ。儂が教えればバッチリじゃ。」
「ありがとうございます!」
浦原さんは、ジャグジーに浸かりながら、そんな2人を面白そうに眺めていた。他の奴らのところに行こうとしたら、浦原さんにむんずと腕を掴まれて、
「檜佐木さ〜ん、どこ行くんスか。折角、美女2人の水着姿が観賞できる絶好のチャンスなのに。」
「いや、俺はいいっす。」
「そんな、遠慮なさらずに。」
(誰に何を遠慮するんだよっ!)
少し惜しい気はしたが、俺は浦原さんを振りきって、アミューズメントプールの方に向かった。