異世界A

□水底の記憶
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結局、先生方のお見立てによる水着を持ってプールにやって来た。メンツは女子だけだったはずが、檜佐木、斑目、綾瀬川。さらには1年生の黒崎、井上、朽木、有沢、涅、石田…、もう名前を挙げるのも面倒だ。

プールに着くと、とりあえずバラバラに行動し、時間と集合時間だけ一緒にすることにした。

私は25mプールで、虎徹(姉)に泳ぎを習うはずだった。が、なぜここに檜佐木がいる? 恥ずかしいこと、この上ない。すると虎徹が、

「だって、ここのプール、真ん中が深くなっているから、私なら背が立つけど、万一何かあったら、檜佐木くんがいてくれたほうが安心だもん。」

(「万一」って何だ…?)

こうして水泳のレッスンが始まった。最初は伏し浮きから。どうしても潜ってしまうので怒られた。

「普通、泳ぎが苦手な人は潜らないよね?」

「すまん…。」

だが、次第にコツがつかめてきて、伏し浮きから蹴のび、バタ足でプールの真ん中のほうまで進めるようになってきた。

「上手い、上手い。さすが砕蜂さん。上達が早いわ!」

しばらくビート板を持ってバタ足で進みつつ息継ぎの練習をした。正直、進むのは潜水で慣れているから、そう苦にはならなかった。要は水中でしていたことを水に「浮かんで」すればよいのだ。息継ぎさえ上手くできるようになれば、なんとかなるかもしれない。
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