異世界A

□浦原商店
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四楓院先生は、「実家に帰るのが面倒なときは」と言っていたが、実質、浦原家で暮らしているようだった。というのも、俺たちがお茶をいただいているのを見ると、

「喜助、儂も茶を貰うぞ。」

と言って、戸棚から自分専用と思われる湯呑(黒ネコの柄のかわいい湯呑みだった)を出してきて、自分でお茶を注ぎ、お菓子もバリボリと遠慮なく食べていた。そして、

「のう、今日の晩飯はなんじゃろうなぁ。」

などと言う。

「さあ、テッサイに聞いてみないと…。」

「おう、そうじゃ。2人とも一緒に食べていかんか?」

「い、いや、俺たちは…」

と言いかけた時、ドタバタと足音が聞こえ、ランドセルを背負った子どもが2人帰ってきた。1人はヤンチャそうな男の子、もう1人は大人しそうな女の子。

「店長ただいま〜!」
「ジン太くん、足拭かなくちゃ、廊下びちゃびちゃだよ。店長、ただいま帰りました。」

一瞬、先生と浦原さんの子どもさん? と思ったが、2人とも浦原さんのことを「店長」と呼んでいたから違うのか? 俺たちのことを見つけると、

「あ、店長にお客さん? 珍しいな。」
「は、はじめまして。紬屋雨(うるる)と申します。ジン太くん、ちゃんとご挨拶しなくちゃ。」

どうやら、2人の子どもさんではないようだ。
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