異世界

□看病@
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結局、何だかんだと言いながら、砕蜂の看病をする破目になった。だが、とっても落ち着かない。寝込みを襲うような真似は誓ってもしないが、万一、俺が帰る時に、マンションの住人に出くわしたら、彼女が偏見に曝されるかもしれないし、マンションから出るときに、俺が誰に見られるかも分からない。つまり、帰るタイミングは完全に外してしまった訳だ。

だが、1人暮らしの彼女をそのままにしておくことも出来ず、何とか自力で着替えた彼女をベッドに寝かせると、部屋の隅で容態を見守ることにした。

熱を測ると38.7℃。

(こりゃ、きついわ…。)

39℃を超えてきたら、やっぱり黒崎か石田に連絡しよう。

とりあえず、熱のあるときは、水分補給だよな…。ここに来る途中、まだみんなと一緒の時に、スポーツドリンクの大きなペットボトルを買い込んでおいてよかった。これから外に買いに出るのは、できるだけ避けたい。

でも俺、腹減ってきたな…。こんなことになるなら、俺の晩飯も、ついでに買ってくりゃよかった。悪いとは思ったが、冷蔵庫を開けさせてもらった。が、案の定、ロクなものは入っていなかった。

(こいつ、いつもコンビニの飯か?)

いつだったか、俺がバイトしているコンビニで遭遇したときのことを思い出す。

(お前、自炊できるようにならなきゃ、困るぞ。)


眠っている砕蜂にむかって、俺は呟いた。
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